商品価値の維持・向上のためには「投資」が必要
あなたは、そのビルに、自分の会社の事務所を置きたいか。
建物や設備は、古くなると大修繕や設備などの取替が必要になります。特に、貸ビルは、商品ですから、商品価値を維持し、高めるためには、投資が必要になります。
レストランなどの飲食店、スーパーやデパートなどで、定期的に店の外装や内装などを変えているお店と、手入れがされていない古びたお店が、家の近くにあるとして、どちらに行きますか。特に、高級品を手入れのされていない古びたお店で買いますか。定期的に内外装を変えているお店や、古くても手入れがされている清潔感の高いお店に行くと思います。
ホテルでも同じです。同じ時期に建てられたホテル2つが、似たような場所にあり、ひとつは部屋の壁紙がくろずんだホテル、もうひとつは、清潔感の高いホテル、どちらを使いますか。清潔感の高いホテルの宿泊料が少し高いくらいだと、こちらを利用する人は多いのではないでしょうか。
オフィスビルも同じです。商品として提供しているのですから、必要最低限の投資は必要です。この必要最低限の投資は、第一の柱である〈魅力あるビル〉をつくる段階で判断することになります。つまり、賃貸市場において、何をすればよいかということです。
単純な質問ですが、
「あなたは、あなたが賃貸しているビルに、自分の会社の事務所を置きたいと思いますか?」
外壁が傷んだままの状態や、エントランスホールが古びている。このようなビルで働きたいと思いますか。大切なお客様を自信をもって迎えられるでしょうか。
資金の借り入れは「投資計画」を含めた計算が必須
建物建築時に借り入れた金額の返済が終わっていても、新たに投資するだけの資金が貯まっていなければ、借り入れなどで投資資金を調達しなければなりません。資金はあるけれども、手元資金を確保しておくために借入をすることもあります。
複数の借り入れ条件を比較検討し、それぞれの条件で、事業計画がどのように変わるかを確認しておきます。
また、長い間、低金利が続いていますが、過去には、急激に金利が上昇したことがあります。今後どの程度この状態が続くかはわかりません。実際に低い利率で借り入れが可能としても、事業計画を立てるときは、金利が上昇した場合の試算もしましょう。どの程度であれば、借入金の元金と利息を含めたビル運営支出がまかなえるか試算します。
また、賃料が下がったり、空室が発生したりする場合も試算し、どの程度余裕があるかも確認しておきましょう。
新たに投資をするのですから、毎年の減価償却費も、投資前とは変わります。これも、投資計画を含めた計算を行います。