定着率が高いファミリータイプだが「空室リスク」も…
では間取りのタイプはどうでしょうか。マンションには、大きく分けてファミリータイプとワンルームタイプがあります。両者の違いは居住年数に表れるといわれます。実際に2LDKや3LDKなどファミリータイプの物件は、入居者の定着率が高い傾向にあります。
[図表]賃貸住宅の平均居住期間
上のグラフは賃貸住宅の平均居住期間です。家族構成ごとのデータですが、学生や一般単身はワンルームタイプを借りるケースが多いでしょうし、一般ファミリーはファミリータイプを選択している可能性が高いでしょう。
学生や一般単身の平均居住期間は2~4年が最も多いのに対し、一般ファミリーは4~6年が最も多くなっています。また、15.6%、つまり約6世帯に1世帯は平均居住年数が6年以上になっています。一般ファミリーの場合には子どものいる世帯も多く、幼稚園や小学校に通うようになると地域とのつながりが深まり、引っ越しがしにくくなると考えられます。
一方で単身者はファミリーと比較すると引っ越しがしやすい状態にあります。また、学生は大学を卒業すると同時に引っ越しをするケースが多いので、入居年数も短くなります。結果、ワンルームタイプよりもファミリータイプのほうが入居者の定着率が高くなると考えられます。
では空室リスクという点ではどうでしょうか。一般的にワンルームタイプよりもファミリーのほうがリスクは高いといわれています。ファミリータイプは入居年数が長いので安定した収益が狙える一方、いったん空室になってしまうと、その期間が長くなります。ファミリータイプにもワンルームタイプにも一長一短があるのです。
「投資利回り」で考えると、ワンルームタイプに軍配
次に家賃面も考えてみましょう。ファミリータイプとワンルームタイプでは専有面積が異なるので、比較には1坪あたりの賃料単価を用います。ファミリータイプの場合、3LDKが多く、専有面積は70㎡から80㎡が一般的です。ワンルームタイプの場合には18㎡から25㎡が中心です。つまり、ファミリータイプはワンルームタイプの3倍程度の専有面積です。
専有面積が3倍だから家賃も3倍に設定できるかというと、一般的には難しいでしょう。また、ファミリータイプのマンションの場合、共用部の廊下やエントランスを広くして豪華に見えるようにお金をかけているケースが多いのです。物件価格には共用部の費用も加算されていますから、投資利回りで考えると効率が悪いということになります。