「木造アパート一棟買い」は物件を見極める力が必要
不動産投資は、物件を購入した時点で、その投資の成否が決まってしまうといっても過言ではありません。
株式であれば、投資したのちに値上がりしなければ、早めに損切りをして次の銘柄で挽回することもできますが、不動産はそうはいきません。筆者著書『決定版! たった90分で人生が変わるワンルームマンション投資入門』で記述していますが、不動産は流動性が低く、一度購入してしまうと簡単に売買を繰り返すことはできないものです。
また売買には多くのコストがかかるので、買い替えは大幅な損失につながる可能性もあります。ですから、物件購入前には慎重に検討をする必要があります。
私自身がよく質問を受けるのは、「ワンルームマンション」と「アパートの一棟買い」ではどちらが有利なのか、ということです。
マンションの特徴は、その多くが鉄筋コンクリート(RC)構造になっていることです。柱や梁などにコンクリートが使用されており、コンクリートの中には鉄筋が入っています。このため、耐震性や耐久性あるいは遮音性に優れているというメリットがあります。
一方でアパートは多くが木造です。とくに初心者が投資できる金額で取引されているアパートは築年数が古い木造アパートが主流で、耐震性や耐久性、遮音性の面でRC構造のマンションには劣るのです。
物件として単純に比較すると、木造アパートよりもマンションのほうが条件は良いので、同じ立地であればマンションのほうが高い家賃を設定できます。とはいえ、マンションのほうが儲かるかというと、必ずしもそうとはいい切れません。
不動産投資のリターンは物件価格と家賃の関係で決まるからです。木造アパートは家賃が低い代わりに物件購入価格は安くなります。結果、木造アパートのほうが利回りが高くなることもあります。
ただし、木造アパートの一棟買いの場合、物件を見極める力が必要です。安く購入できたのはいいが、逆に多額な修繕費がかかってしまった、となりかねないからです。そう考えると、木造アパートは不動産投資のなかでも中上級者向きの物件といえるかもしれません。
新築物件と中古物件ではどちらが有利か?
では、ワンルームマンションの投資を考える場合、新築物件と中古物件ではどちらが有利なのでしょうか。
入居者の立場で考えれば、新築に住みたいという人が多いでしょう。しかし、入居者に「新築」とアピールできるのは最初の1回限りです。1日でも人が住んでしまえば、次に募集するときには中古物件です。しかも購入価格は中古物件のほうが安くなり、その分、家賃を低く設定できます。そう考えると、価格が手ごろな中古物件が有利ともいえます。
ただし、現在流通している中古マンションで価格が手ごろな物件のなかには、築20年前後のものが数多くあり、これらの築年数が古い物件にはとくに注意が必要です。建物は年月とともに老朽化するため、築20年ともなると屋上の防水工事や外壁の補修、キッチンや風呂など水回りの設備交換も必要になる可能性が高くなります。
せっかく安い価格で物件を購入できたとしても、その分、修繕費が高くなるかもしれません。マンション全体の大規模修繕の場合には、それまでに積み立てられてきた修繕積立金が利用されますが、費用がかさんで足りなくなれば、オーナーがさらに負担しなければならないこともあります。
一方で新築物件の場合には、多額の修繕費がかかるのは10年、20年先のことですから、利回りを把握しやすいというメリットがあります。運用期間にも差が出ます。マンションの耐用年数が50年とすれば、築20年の物件であれば残り30年間ですが、新築物件であれば50年間の運用が可能です。
新築と中古ではどちらが有利なのかというと、総合的には新築物件に軍配が上がると考えています。とくに初心者の場合には、新築マンションで不動産投資の経験を積むのがよいでしょう。