州内でもひときわ高い雇用成長率を見せるベイエリア
前回はサンフランシスコ・ベイエリアに多く集積しているイノベーション産業が、一般的な製造業に比べ、多くの雇用を生み出していること、また、その乗数効果について説明しました。今回は、実際の過去の具体的な数字を追ってみたいと思います。
下の図表1は、2005年を100としたときの、同じカリフォルニア州内の主要都市の雇用数の増減を指数化にしたものです。下記にあげた南カリフォルニアの3大都市圏である、アナハイム大都市圏(オレンジ郡)、ロサンゼルス大都市圏(ロサンゼルス郡)、サンディエゴ大都市圏(サンディエゴ郡)の主な産業には、防衛、航空、メディア、港湾事業、石油精製などがあります。最近は、IT企業の進出も目につくようになってきました。
一方、北カリフォルニアの2大都市圏である、サンフランシスコ大都市圏、サンノゼ大都市圏には、主な産業として、IT、バイオテック、ヘルスケアなどのイノベーション産業のほか、金融、石油精製、化学、アパレルなどがあります。
グラフの中の記号は以下を意味します。
ANA=アナハイム大都市圏(オレンジ郡)
LA=ロサンゼルス大都市圏(ロサンゼルス郡)
SD=サンディエゴ大都市圏(サンディエゴ郡)
SF=サンフランシスコ大都市圏
SJ=サンノゼ大都市圏
[図表1]カリフォルニア州南北都市の雇用指標
[図表2]2015年9月単月の雇用増加数(単位:千人)と前年同月比の成長率
図表1のグラフからもわかるように、ベイエリア(サンフランシスコ、サンノゼ)での雇用成長率は+23%~+27%(2005年比)、南カリフルニアの成長率+6%~+10%(2005年比)と、背景にある産業構造の違いにより、雇用面で大きく差が出ています。
雇用成長と家賃価格の上昇はやはり切り離せない要素
雇用成長はアパート賃貸マーケットに大きく影響を与えています。
下記に掲載した図表3のグラフは、上記に掲載した図表1のグラフと同じ時期(2009年1月から2015年9月、期間:6年9ケ月)にわたっての、家賃上昇の伸び率を示しています。図表1のグラフに見られるように、南カリフォルニアの年平均上昇率は4.2%、ベイエリアの同上昇は9.7%となっています。図表4によれば、過去2年間ではベイエリアのオークランド大都市圏(サンフランシスコ対岸)は、サンフランシスコ大都市圏とサンノゼ大都市圏をも上回る上昇率を記録しています。
[図表3]カリフォルニア州南北都市の家賃上昇率
[図表4]ベイエリアの家賃上昇率
ちなみに、下記の図表5は全米TOP17大都市圏の家賃上昇率のランキングです。ベイエリアの4大都市圏はすべて上位にランキングされています。
[図表5]全米TOP17大都市圏の家賃上昇率ランキング
日本ではごく一部のサブマーケットでしか経験できない家賃上昇について、ピンと来ない方もいらっしゃるかもしれませんが、米国不動産投資を語る場合、家賃上昇がキャピタルゲインの一部をなしていると言えるでしょう。つまり、経済成長率以上の家賃上昇があれば常に不動産価値が上昇し、さらに不動産価値上昇率は常に家賃上昇率を上回ることになるのです。
参考資料
http://www.axiometrics.com/company
Axiometrics Inc.