エリートサラリーマン・須藤を通して「不動産投資」について学ぶ本連載。今回は、須藤が不動産投資で「副収入を得たい」と考えた理由を見ていきます。

家賃収入が介護費用の足しになれば…

母はほとんどしゃべらない。たぶん、口を開くのがおっくうなのだ。パーキンソン病による神経細胞の減少は、神経伝達物質のドーパミンの減少を伴うので、うつ病に近い症状が出ることもある。たぶん、そういうことだ。


その日、オレが母に言わなかったことがある。


母はたぶん、将来的に身体がほとんど動かなくなることが考えられる。そうなったら、オレが仕事に行っている間、常にヘルパーさんについていてもらうか、あるいは施設に入ってもらうしかない。


いずれにせよ、お金が必要だ。マンションからの家賃収入が、そのための足しになればいい。そんな思いもあった。


それから、住む場所に対する母のこだわりの強さも、オレがマンションを買う動機になっていた。

安心して母を住まわせることのできる家が欲しい

今住んでいる家は、両親が結婚時に購入した家だ。当時、母は働いていなかったから、父の名義で父がローンを払っていた。結婚してから10年後、両親が離婚するとなったとき、家を出て行ったのは父のほうだった。


どんな取り決めがあったのか、母は話してくれないが、オレと母はそのまま同じ家に住み続けることができた。慰謝料か養育費の代わりなのか、父がその後も住宅ローンを払い続けてくれたからだ。


その代わり、家の名義は父親のままだった。ということは、可能性としてはほとんどないのだけど、父の気が変われば、あるいは父が財政難に陥れば、オレらはいつでも家を追い出されるような立場なのだ。


だから、オレは時々、自分自身の名義の家が欲しいと思っていた。


「マンションを買いませんか」なんて、荒唐無稽な話に心を動かされてしまったのには、そういう理由もある。いざとなれば、安心して母を住まわせることのできる家が欲しかった。


母との食事を終えたオレは、自室に戻って、ベッドに足を投げ出した。

本連載は、2017年11月2日刊行の書籍『40歳独身のエリートサラリーマンが「不動産投資」のカモにされて大損した件』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

40歳独身のエリートサラリーマンが「不動産投資」のカモにされて大損した件

40歳独身のエリートサラリーマンが「不動産投資」のカモにされて大損した件

杉田 卓哉

幻冬舎メディアコンサルティング

大手上場企業に勤めるサラリーマン、須藤。40歳独身。将来への不安から、副収入を求めて「新築区分マンション投資」に手を出すが・・・。可愛い声の女性担当者がテレアポでおびき寄せ、イカつい営業マンが強引にクロージング!…

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