一代で11の医療・介護施設の開業に成功した医師の軌跡から、事業拡大における極意を見ていく本連載。今回は、その第15回です。

友人の縁で「土地の借用」に成功

とある土曜日の午後、土地を求めてほうぼうを回り、千葉から八日市場方面に向かって車を走らせていた時、大学時代の同級生、河宇伸有くんが開いた産婦人科を見つけました。その病院の隣が駐車場になっていたのです。友だちのよしみで、この土地を貸してくれないかなと思い立ち寄ったのですが、日曜日だったこともあり、留守でした。諦めようとしたところ、ちょうど河宇くん一家が帰ってきました。これ幸いと、駐車場を借りたい旨を説明し、頼み込んだのですが、残念ながらそれは断られました。私たちは引き上げるしかありませんでした。

 

しかし翌日日曜日、無給で透析患者さんの入院治療を行っていた時に河宇くんから電話がかかってきました。知り合いに土地の余っている農家がいるからと、地主の緑川清氏を紹介してくれたのです。私たちはすぐに緑川氏のもとへ向かいました。思った以上に広い畑や田んぼが余っています。そこで何とか地主と交渉したところ、簡単に「いいですよ」という答えをもらうことができたのです。1億8000万円に対して手付金として、ちょっと少ないかなと思いつつ100万円を先に渡しました。これも河宇くんという人物を思い出したことによる縁から急展開したのです。この縁に深く感謝しました。

6回目の交渉でようやくかなった「融資証明書」の発行

ところが、そこにまた壁が立ちはだかります。それは農地転用の許諾を申請し、都道府県か指定市町村の許可を取らなければならない点です。さまざまな法律が関係しており、土地の全部事項証明書や位置図、測量図面、実印と印鑑証明などなど、膨大な必要書類と手続きが待ち構えていたのです。これらを集めるのにとてつもない苦労をしました。さらに「融資証明書」も必要になるのですが、どんな都銀や地銀もまったく相手にしてくれません。

 

最後の最後、ある信用金庫の担当者に必死に頭を下げ、6回目の交渉でようやく融資証明書を発行してもらいました。粘り勝ちです。こうして、開業場所がようやく決定しました。思ったより長い道のりでした。

 

これで、東金地区に開業する目処がようやく立ったのです。4年間の土地探しに付き合ってくれた妻、そして途中から声をかけて協力してもらった忠さんをはじめ多くの人たちに感謝の気持ちでいっぱいです。

ドクター・プレジデント

ドクター・プレジデント

田畑 陽一郎

幻冬舎メディアコンサルティング

医療者である開業医が突き当たる「経営」の壁。 経営者としてはまったくの“素人”からスタートした著者は、透析治療を事業の柱に据えて、卓越した経営センスで法人を成長させていく。 徹底的なマーケティング、2年目で多院展…

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