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クリニックの建設資金の圧縮を可能にした「借地権」の活用

一代で11の医療・介護施設の開業に成功した医師の軌跡から、事業拡大における極意を見ていく本連載。今回は、その第14回です。

必要な土地代は「およそ3億円」

何より安い物件を探していた理由はご想像どおり、お金がないからです。何しろ薄給の勤務医だったので、住居費や生活費など必要経費をやり繰りしても、結局手持ちの貯金はたったの100万円。なんと無謀にも、私は100万円ぽっちで開業しようとしていたのです。

 

しかも当時はバブルで土地価格がどんどん値上がりしていた時期で、坪単価が100万円などざらです。1坪買ったところで開業できるはずもなく、何の担保もないので、銀行へ行ってもお金を貸してくれるわけがありません。バブルの頃、銀行のほうから「お金を借りてくれ」と言ってきたという噂は山ほど聞きましたが、私にはそんな声はちっともかかりません。実際、地元の銀行や信用金庫などをあちらこちら回りましたが、ほとんど門前払いのような扱いを受けました。

 

また、いくら借りるかという問題もありました。土地を買い、そこに上モノとしての医療施設を建てて設備を購入すると、とんでもない金額に跳ね上がってしまいます。どの程度の規模で、どの程度の設備を備えるか、そのためにはいくら必要か。このシミュレーションをいろいろと検討していました。私の希望する施設は300坪程度でしたから、計算するとおよそ土地代3億円が目安と定まりました。

 

普通に考えると、どこの誰が100万円しか貯金のない男に3億円も貸してくれるのでしょう。途方に暮れそうになっていたのですが、実は一つの光明となる事例を記憶していました。

 

かの有名な徳洲会病院のケースです。初開業の際、ある銀行にただただ通い続け、断られても断られても諦めずに毎週粘りに粘って、ついに根負けした銀行から融資を受けたという実例を噂で聞いていました。どんなことがあっても、ひたすら粘れば何とかなるのではないか。4年も土地探しをし続けているぐらいなのだから、粘るなんて簡単なことなのではないか。そう思って話を聞いてくれる金融機関を探しました。

土地を借りて地上権をつければ・・・

同じ頃に、知り合いの病院事務長からいい話を聞きました。その人は農家から坪1000円で土地を借り、そこに家を建てていたのです。

 

そこで初めて、借地権には、賃借権と地上権があるということを知りました。つまり、土地を購入して施設を建てるのではなく、土地を借りて地上権をつけてもらえれば、借地権は他人のものなので私は売買できませんが、上モノだけは私の側に自由な権利があり、こちらの債権(物権)となりますから、売買も可能ということです。

 

当時、地上権だけなら6割と設定されていましたから、うまく土地を貸してくれる人物を見つけ、3億円の6割、つまり1億8000万円を用意できれば、施設用の土地が手に入れられるという計算になります。

医療法人社団明生会理事長 千葉県医師会会長

千葉大学医学部卒業。1991年に千葉県東金市にクリニックを開業。透析施設7施設、介護施設4施設、関連施設4施設の包括的なネットワークで、患者が安心して受けられる透析治療や介護サービスを提供。日本透析医学会教育関連認定施設でもある同法人の東葉クリニックでは、学会や研究会などで毎年数多くの報告を行う。医療連携室にソーシャルワーカーを配置することで地域との連携を図り、保健・医療・福祉の3方向から総合的なサービスの提供を目指している。

■腎臓病・透析患者のためのブログ「じんステーション
 (https://jin-station.com/

著者紹介

連載11の医療・介護施設を開業した医師に学ぶ「事業拡大」の秘訣

 

ドクター・プレジデント

ドクター・プレジデント

田畑 陽一郎

幻冬舎メディアコンサルティング

医療者である開業医が突き当たる「経営」の壁。 経営者としてはまったくの“素人”からスタートした著者は、透析治療を事業の柱に据えて、卓越した経営センスで法人を成長させていく。 徹底的なマーケティング、2年目で多院展…

 

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