一代で11の医療・介護施設の開業に成功した医師の軌跡から、事業拡大における極意を見ていく本連載。今回は、その第9回です。

チャン教授の門下生になるため、米国を去りカナダへ

即行動するのも私の性格です。チャン教授の門下生になるべく、1週間も経たないうちにとっとと米国を去り、モントリオールのホテルに泊まり、翌一日でアパートメントを契約し、3日目には、チャン教授に会うため大学に向かいました。あまりにもこちらが早く来すぎたもので、チャン教授に「もう来たのか」と驚かれたものです。

 

モントリオールは、当時人口は300万人ほどで、日本でいうと当時の横浜市ぐらいの規模の都会です。言語は英語が25%とフランス語が55%ぐらい。世界各国からあらゆる人種が集まる都市です。

保険制度の整った国での楽しい研究室生活

まず驚いたのは保険制度がきちんと整っていることです。米国では、今でこそ「オバマケア」などと呼ばれる国民皆保険制度が整いつつありますが、つい最近までは保険はすべて民間企業に任せており、また掛け金が高いために入っていない家庭も多くありました。しかもそこそこの中流家庭でも、保険に未加入だった場合、ある程度の入院が伴う手術だけで自己破産してしまうほど、保険制度が行き届いていない国でした。私も虫歯の治療をしたかったのですが、行きませんでした。普通に歯医者に行ってはとんでもない請求を受けてしまいます。

 

ところがカナダでは保険制度が日本と同程度に整備されていますから、悩みの種だった歯の治療にもさっさと行くことができました。多少寒いのですが、とても暮らしやすい都市です。

 

チャン教授の門下生もまた国籍がさまざまでした。ベトナム、メキシコ、フランス、英国、ドイツなどなど、あらゆる国の真面目なメンバーが集まり、そこに私が加わらせていただき、まさに「多国籍軍」です。差別もなく文化や習慣の違いなども知ることができ、実に楽しい研究室でした。

ドクター・プレジデント

ドクター・プレジデント

田畑 陽一郎

幻冬舎メディアコンサルティング

医療者である開業医が突き当たる「経営」の壁。 経営者としてはまったくの“素人”からスタートした著者は、透析治療を事業の柱に据えて、卓越した経営センスで法人を成長させていく。 徹底的なマーケティング、2年目で多院展…

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