2017年3月、東京金融取引所と富士通が共同研究を開始
AIを活用した金融不正検知の取り組みは、日本でも始まっています。
2017年3月9日付けの日本経済新聞によると、東京金融取引所はAIを使ってFX取引の異常や不正を検知する仕組み作りに向けて、富士通と共同研究を始めました。早ければ2019年の実用化を目指しているとのことです。
東京金融取引所の持つFX取引情報を富士通のAIに学習させて、異常な取引を素早く見つけるのが目的で、監視業務に人員を適正配置する狙いもあるといいます。また取引を実行する個人の保護や、取引コストの低減にもつなげる意向があるようです。
富士通のソリューションは、デジタル・リーズニングのアプローチとは少し違っていて、正常な状態を学習させることで、異常を検知させるという方式です。(制限するかどうかは別として)HFTによる取引も検知できるといいます。
このほかにも、日本取引所グループが2018年3月期中に、相場操縦などの不公正取引を調べる業務をAIでサポートする方針を明らかにしており、日本の金融市場のインフラである取引所でのAI導入に弾みがつきそうな状況です。
不公正取引の調査業務を「AI」でサポート
金融不正防止へのAI活用について見てきました。ここで全体的にまとめておきましょう。
①金融不正が金融機関経営にとって大きなリスクとなっている
金利操作の不正発覚で1000億円を超える課徴金を課されるなどの事件がヨーロッパで発生しています。
②不正防止にAIが活用されている
人間の監査人だけでは数が不足しているため、不正防止にコグニティブコンピューティング(AIの一種といっていい)が活用されています。
③日本でも不正防止のAI活用が始まっている
2019年の実用化を目指して、東京金融取引所と富士通がFX取引の異常・不正検知システムの開発を開始しました。
また日本取引所グループは、2018年3月期中に、相場操縦などの不公正取引を調べる業務をAIでサポートする方針を明らかにしています。