大底をつけてから少し経った時が「買い」の好機
思い起こせば、私自身も株を始めたばかりの頃は株価が低迷中の銘柄に目が向きがちでした。
それが底打ちから反転する直前に仕込みたいと考えていました。
けれど、至って当たり前の話ではありますが、誰も関心を示さなかったからこそ、株価が低迷してきたわけであって、急に注目されるようになるかどうかなんて、あらかじめわかるはずがありません。
ならば、わかってから動くしか術はないわけです。徒競走を例に挙げれば、イメージしやすいでしょう。
人類史上最速のウサイン・ボルト選手のような存在が混じっていない限り、見ず知らずの子どもたちがこれから徒競走を行う際に、誰が1着になるかなんて見当もつきません。
しかし、20メートルぐらい走った地点では、よほどの接戦でない限り、おおよそ見定められるようになってくるでしょう。
ここで、前回の「逆すべり台」の図を思い出してください。大底をつけてから少し経った地点に引いた「買いタイミング」のラインとは、徒競走の20メートル到達地点のような意味合いだったのです。
ただし、株の取引が徒競走と異なるのは、ゴールラインが定まっていないこと。いつ株価がピークアウトするのかというゴールがわからないから、その手前でストップするしかないわけです。
株の利益は「腹八分目」を心掛けるのが最も堅実
とにかく、大天井では売れないという認識を持つことが極めて重要となってきます。結局、株の利益も”腹八分目”を心掛けるのが最も堅実だということなのでしょう。そろそろ、話をまとめましょう。
上がり始めた銘柄を探して、それを見つけたら、さっそく買いを入れます。もしも、その途端に萎しおれてしまったら、その銘柄との勝負に敗れたわけで、見切るなり、損切りなりをすることになります。
そうしなくてもよかった銘柄は、そのままポジションを持ち続けることになります。相場全体に波乱がなければ、しばらくは上昇が続くでしょう。
そして、天井を打つ前に利食いの売りを出します。このように極めて単純なイメージで、私は日々の取引を行っています。
先でも触れたように、私の取引も「勝ったり負けたり」の繰り返しです。しかしながら、負けた場合はさっさと撤退するので、お陰様でトータルではそれなりの儲けを確保できています。
そうそう、負けた場合の損切りの話が中途半端になっていましたが、その点についてはこの章の後半でじっくりと説明することにしましょう。
とにかく、株価というものは、絶対的な何かをめざして動いているわけではありません。PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などといった指標の数値を意識して株価が推移しているわけではないのです。