8~10%下がったら必ず損切りを!
ここで訴えたいのは、本連載の冒頭でも触れた損切りの重要性についてです。株式市場がどのような展開になろうとも、必ずや負けてしまう銘柄が出てくるものです。
そのまま保有し続けていると、「敗戦銘柄」ばかりのコレクションができあがってしまうハメになります。
しかも、市場にはそういったハズレの銘柄も多く、確率的にも手を出してしまいがちです。かくいう私も、そのようなどうしようもない銘柄をうっかり買ってしまうことがよくあります。
それは極めて当然のことです。私は神様ではないからです。
アベノミクスで日本経済が久々に活気づく中でも破綻企業が出てくるわけであって、ダメな銘柄はどのような状況でも必ず出てきます。
それでも、ガバッとまとめて買い込んで、いい銘柄も悪い銘柄もバッサリとすべて売り切るのであればまだマシです。これであれば、結果的に「1つの銘柄」を売買したことと同じになり、儲けても損しても、売った後は保有銘柄がゼロになり、それ以上儲かることも損することもなくなります。
しかし、そんな投資を行っている人を私は見たことがありません。たいていの投資家は、見切らなければいけないと思いながらも躊躇しがちです。
自分自身が個々に見定めて買っただけに、どうしても執着が出てくるのでしょう。もしかすると自分でも心の奥底では失敗を認めているからこそ、株価の動きとは逆のことを考えてしまうのかもしれません。
私の場合は、買い値よりも8〜10%下がったら損切りすることにしていますが、実際には8%にタッチした時点で投げているケースのほうが多くなっています。6〜7%下げた段階で、すでにその心づもりをしているからです。
逆から言えば、心づもりがなければ、なかなか潔く損切りできるものではないでしょう。とはいえ、常にあらかじめ逆指値売り(一定ラインまで下げたら売る注文)を入れておくほどのことはないでしょう。
むしろ、入れておかないほうが無難でしょう。なぜなら、情勢が変わることも多々あるからです。
”塩漬け”にしないことで、動かせる資金を常に確保
いずれにせよ、下げた株価が元の水準まで戻るには相応のパワーが求められます。
たとえば、1000円の株価が10%下がって900円になり、その後に反発して10%上がったとしても990円にとどまっているという数字のマジックも存在しています。
複数回に分けて買った銘柄についても、平均の買い付け単価よりも8%下がった時点で私は損切りを行っています。
「早計だった・・・持ち続けたほうがよかったのに」と「切っておいてよかった!」のどちらの結果が多いかといえば、明らかに後者です。
なお、この8%という目安はあくまで主力株に該当するもの。もっと中小型の銘柄は値動きが荒いので、13〜15%を目安にしています。
とにかく、私はメドとしている下落率に達したらキレイさっぱり投げてしまうようにしています。
そして、「8%の損ですんでよかった」と思うように心掛けています。とんでもない失敗を犯した場合の凹みは、その程度ではけっしてすまないものです。
絶対に”塩漬け”にはしないことで、動かせる資金も常に確保できています。不意を突かれて相場全体の急落に巻き込まれた場合も、「配当があるし、とりあえずは持っておこう」などといった発想を私はしません。
自分から損切りしない理由を見つけようとするなんて、私にとっては絶対にありえないことだと思っています。
今まで株式投資でそれなりの利益を上げてこられたのは、ストップ高銘柄を引き当てていることだけでなく、こうして引き際を明確にしているからだと私は考えています。