今回は、株式投資における売買のタイミングの難しさについて考えていきます。※本連載は、株式ジャーナリストとして活躍する天海源一郎氏の著書、『こんな時代にたっぷり稼げる株の見つけ方』を一部抜粋し、個人投資家が株式投資で成功する思考法と売買スタイルを紹介します。

株価が「下から上へ上がっている局面」を図で描くと・・・

まずは、図表に注目してください。きっと、「すべり台の絵ですか?」と思った読者も少なくないことでしょう。

 

確かに見た目はその通りなのですが、実はこれ、「逆すべり台」になっています。株価の動きを示しており、下から上へと上がっている局面を描いているわけです。

 

[図表]

さらに補足すれば、底打ちした株価が瞬く間に急騰し、高値をつけて反落に転じるまでの推移が表現されています。

 

ここでポイントとなるのは、底打ちしてから少し経った地点と、天井を打つ直前の地点に線が引かれていることです。

 

「この程度の値幅をしっかりと享受できれば万々歳!」というイメージを伝えたかったのです。

ドンピシャのタイミングでの売買は「偶然」にすぎない

もちろん、ピタリと大底で買って、首尾よく天井で売り抜けるのがベストですが、それを常にやるのは無理でしょう。

 

今が大底、今が天井といった事実はリアルタイムで把握できるものではなく、多少なりとも時間が経過しなければ判断がつかないからです。

 

それは市場に上場するすべての銘柄に該当する話だと断言できるでしょう。長く取引をやっていれば、ドンピシャのタイミングで売買できるケースも出てくるでしょうが、あくまで偶然にすぎない結果であって、例外だと思ったほうがいいと私は思います。続落するかもしれないという不安を抱えながらも、「エイヤー!」と腹を括って買いを入れたら幸運にも大底を打ってくれたというのが真実で、100%の確信を持ってそう行動した人はいないと思われます。

 

おそらく、その例外的な人はまず皆無で、かなりベテランの投資家の思考回路もそうなっているはずです。私のこうした認識はけっして間違っていないと思うのですが、読者のみなさんはどう思うでしょうか?

 

自分自身が売買を繰り返してきて、「結局、最後の判断はエイヤーなんだな」としみじみ感じるようになりました。寿司職人が酢飯を手に握り込む感覚と似ているような気もします。

 

ただ、改めて考えてみれば、そういった話を自らの経験をもって教えてくれる人は意外と存在していません。

こんな時代に たっぷり稼げる株の見つけ方

こんな時代に たっぷり稼げる株の見つけ方

天海 源一郎

幻冬舎

時間をかけて勉強して理解した「理論」が、実際に株式投資を行う際には「ヤマ勘」と対して変わらないものになるというのが、多くの個人投資家の実像である。本書は、「ヤマ勘株投資」と決別するために必読の一冊。株式市場の全…

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