株の「需給」が把握できれば、儲け時か否かがわかる
前回の続きです。
こうしたお金の出入り(需給)を気に留めていれば、株価の先行きのイメージが掴みやすくなります。
単にニュースをチェックしていてもお金の動きがわかるまではいかないと思います。やはり初めからイメージを持って出来事を見るという観点に立つべきでしょう。
たくさんお金が入ってきている状況がわからない人はいないはずで、そのことを把握できれば、「なぁ〜んだ!今は儲け時じゃん!(あるいはその逆)」とイメージできるはずです。
そう考えると、個別の銘柄ベースでは売り買いのタイミングが毎日訪れていることになるでしょう。たくさん買いが集まっている銘柄が上がり、売りが集中している銘柄が下がるという単純明快な動きです。
頻繁に行われている「浮動株」の取引が、株価を動かす
さて、続いて図表をご覧ください。
[図表]
こちらは、先程の湯船の中を大きく2つの成分に分類したものです。
まず、下のほうが「安定株主が保有している株」で、その企業の親会社や系列会社、取引先やメインバンクなどが基本的には株を売らないことを前提に保有している株主です。資本関係の解消などに踏み切らない限り、市場に出回ることはない株です。
したがって、その時点で株価に影響を及ぼすことはなく、いわば根雪のようになっている存在だと言えます。
これに対し、その上に乗っかっているのが「浮動株」で、そのほとんどが市場で売り買いが繰り返されて、その度に株主が変動しています。
つまり、株価を動かしているのは、頻繁に行われている「浮動株」の取引だということです。
「浮動株」が全体に占める割合はおおよそ30〜40%程度と言われているので、たとえ値幅制限という制度がなかったとしても、1日で株価は半値まで下がるようなことがまずないのもこうした要因からくるものです。
いわば、かなり厚底のビールジョッキのような状態で、ビールの部分に相当する「浮動株」だけが盛んに動いている構図です。
もし企業が自社株買いを実施すれば、その分だけ浮動株が減りますから、さらに底の厚みが増します。
こうした「需給」の関係を念頭に置いたうえで、常にその動向を意識しておけば、株価の方向性もおのずと見えてくると私は思います。