需要・供給の綱引きの情勢を表す「需給関係」
株式市場という1つの大きなフレームがあって、お金が日々出入りを繰り返しているという話を本書の第1章で述べましたが、その続きとも言えるのがここで述べたいテーマです。
入ってくるのはやはり株を買おうとしているお金で、出ていくのは基本的に株を売って換金されたものだと捉えられます(一部そうでないものもあります)。
さらに言えば、株を買い求めようとするのは「需要」であり、それに応じて売ろうとする動きは「供給」です。「需給関係」とは、両者の”綱引き”の情勢のことを意味しています。
投資資金の出入りの活発化が、平均株価を動かす
ここで、図表に注目していただきたいと思います。コップのようなフレームは、株式市場をイメージしています。
[図表]
そして、冒頭でも述べたようにお金が頻繁に出入りしているわけです。出ていくお金のほうが多ければ株価は安くなり、市場全体の水位を示す平均株価も下がっていきます。
無論、入ってくるお金のほうが多い場合には、株価が高くなって全体の水位も上昇していきます。
株式市場ではこうした”綱引き”が繰り返されているわけですが、特に注目したいのは、入ってくる流れが活発化している局面において、比較的大きな動きが生じがちなことです。
たとえば、低金利で債券投資の妙味が薄れてくると、リターンを得ようとして、株式市場にまとまったお金が投じられる動きが顕在化しがちです。
また、これは低金利とも関係してくることですが、2008年秋のリーマンショック後のように、大々的な金融緩和が実施されて世の中に出回るお金がジャブジャブに増えてくると、やはり株式市場をめざすお金も目立って増えてきます。
まさに大浴場の湯船と同じで、入ってくる人がどんどん増えていけば、お湯の水位が上がってやがては溢あふれ出します。逆に、水位が下がっていくプロセスについてもイメージしやすいでしょう。