今回は、メインバンクとの金利交渉の場で、担当銀行員が見せた態度に関するエピソードを見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

「なぜ、金利が下がらないのですか?」

前回からの続きです)

 

沢井商店(仮)は小売業を営んでいますが、
商売は厳しく、借入金は年商以上に上っています。

 

自己資本比率は10%程度、
貸借対照表の右側は借入金だらけです。
一方左側には、土地と建物です。

 

社外流出を抑えて、
少しでも会社にお金を残さなければ、
いつどうなってもおかしくありません。

 

「社長、この間、JY銀行は交渉相手として
厳しいというのは、どういうことですか?
交渉内容について、教えてください。」

 

「まず、冒頭で、JY銀行としては、
他の銀行と横並びはせず、金利を下げるつもりはない、と言われました。

 

それから、私が粘り強く、“なぜ、金利が下がらないのですか?”
と聞いたら、30代の行員にこういわれました。

 

『いやぁ、金利下げたら、自分の給料が下がりますから(笑)』

 

まぁ、笑いながら言っていたので、
半分は冗談だと思いますけどね~」

 

それを聞いて、わが耳を疑いました。

「今回はもう交渉しなくても・・・」

「社長、そんな馬鹿な話、ありませんよ。
どこの銀行で、自分の銀行の社員の給料が払えないから、
金利を下げられない!という銀行があるのですか。

 

しかも、30代の行員が、古くから付き合いのある
70代の社長に直接言うとは・・・」

 

社長は続けて言いました。

 

「それから、今後は、わが社はこういう対策をとっているから、業績が上向きます!
と説明したら、『業績が上向くなら、金利を下げる必要ないじゃないですか』
なんて、言われました。

 

これってどうなんでしょうかね?

 

まぁ、JYさんは昔からの付き合いもあるし、今回はもう交渉しなくても・・・」

 

社長の口から弱気な言葉が出てきます。

 

「いえいえ、ここでそのままにしては、いままでと変わりません。
せっかく交渉したのに、もったいないですよ。

 

銀行は、“沢井社長は、どうせ本気じゃないだろう”と、
思われているのですよ。反撃しましょう。」

 

(続)

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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