前回は、物件売却を不動産会社へ依頼する際、「専任」と「一般」のうち、どちらのほうが売却に有利なのかを解説しました。今回は、収益物件の売却時に、最終的な「手残り」を最大化する方法について見ていきます。

最大限高く売っても、予想以上に課税されては・・・

Q:手残りを最大化する売り方とは?

 

収益物件の売却にあたっては、最後に残った譲渡益に税金がかかってきます。最終的な手残りを最大化する売り方とはどのようなものでしょうか?

 

A:不動産に詳しい税理士は必須。最大の節税効果を考えながら売却する

 

収益物件活用では、帳簿(会計)上の利益よりも、最終的に手元にいくらの現金が残ったかというキャッシュフローが重要です。無事に売却できたとして最後に問題となるのが、売却にかかる税金です。せっかく努力して最大限高く売ることができたとしても、税金が予想以上にかかってしまって最終的な手残りが少なくては意味がありません。収益物件活用による手残りを最大にするためには、税金に対する理解が必須になります。

物件売却時に、課税対象となる「利益」の算出法

物件を売却した場合、売却金額から簿価を控除し、さらに売却に要する費用を控除した利益に対して課税されます。

 

売却金額-簿価-売却に要する費用=利益 ← 課税

 

簿価とは、取得価格から毎年建物と設備の部分を減価償却していったその残額です。また、売却に要する費用とは、仲介手数料や売買契約書に貼付する印紙代などになります。

 

つまり、減価償却が終わった総額1億円(内、建物価格5000万円)の物件が1億円で売れた場合、単純に売却金額1億円-購入金額1億円=0で利益はゼロ、ではなく所有している間に減価償却していた建物分(5000万円)が簿価では引かれていますので、売却金額1億円-簿価5000万円=5000万円、この5000万円から売却に要する費用を引いたものに課税されるということです。減価償却で数年にわたって繰り延べしてきた利益に、ここで課税されるわけです。

 

課税の税率は、取引主体(法人か個人か)および保有期間によってその税率が異なります。

本連載は、2016年7月29日刊行の書籍『利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本連載は情報の提供及び学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資・経営(管理運営)の成功を保証するものではなく、本連載を参考にしたアパート事業は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本連載の内容に基づいて経営した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。なお、本連載に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後、変更されることがあります。

利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50

利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50

大谷 義武

幻冬舎メディアコンサルティング

【物件選びから融資、管理、税務、売却まで「知らなかった」ノウハウが満載! 500棟6000戸を管理し入居率98%を実現してきた不動産のプロがワンランク上の知識とテクニックを全公開】 不動産投資のノウハウに関する情報は書籍…

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