今回は、業者にとっても不可欠な「不動産を加工する技術」について見ていきます。※本連載では、2級建築士・宅地建物取引主任者の齊藤正志氏の著書、『不動産を「加工」する技術』(現代書林)より一部を抜粋し、不動産を有効活用し、次の世代へも継承できる財産を作る「不動産加工」について解説していきます。

人間が歩んできた「加工の歴史」とは?

これも当たり前のことですが、不動産を含めほとんどあらゆるものは、加工を経てはじめて付加価値が生まれるのです。

 

あなたの身の回りにある商品を観察してみると分かることですが、すべての商品にはなんらかの手が加えられています。

 

食卓にのぼる魚ですらもその例外ではありません。

 

われわれは釣ってきた魚を、猫のように生のまま頭からかじりついて食べるわけではありません。刺身にしたり、焼いたり、煮たりして口にします。また、乾燥させて長期間保存できるように加工することもあります。

 

鉄にしても、鉱石から作られた鉄板をそのまま使用するわけではありません。

 

鉄板を延ばしたり、プレスしたりして、それぞれの用途に合致するように加工してはじめて鉄の価値が生まれるのです。

 

人間が歩んできた歴史そのものが加工の歴史と言っても過言ではありません。

 

狩猟民族だった太古の昔から日本人は、農具などを加工して、より多くの農作物を得ようと努力してきました。それは生き延びるための努力でした。

時代によって様々な「加工」がなされてきた不動産

私の父も北海道の開拓民の子孫で、乏しい農機具を代用するために様々な工夫をしていました。

 

農業はもともと種を植えて作物を収穫するだけのものでした。しかし、農薬を使ったり、品種改良を重ねるなどの努力で、収穫量は増えていきました。

 

さらに最近では、野菜工場で野菜を「生産」しています。

 

これらはすべて加工がもたらした成果にほかなりません。

 

私の出身地である北海道でも、米の品種改良によって、米の質だけではなく生産量も飛躍的に増えました。

 

かつては、本州で収穫される同じ量の米を北海道で収穫するためには、本州の3倍ぐらいの農地を要したのですが、「加工」により北海道の農業も変わりました。今では、味のよいブランド米の産地になっています。

 

不動産についても、利用、活用という中で、様々な加工がされて使われてきました。また、時代時代によって、その使い方や、その時のブームによって流されたこともないとは言えません。一概に不動産というのは、大きなニュータウンプロジェクトやリゾート開発、都市開発などから個人住宅用土地の取引まで、非常に幅広い分野があり、巨大な資金が動いています。大手企業は、資金力や技術力などによって大きなプロジェクトを成立させていますが、我々のような零細な不動産業は、常に勉強を重ね、大手がやらない不動産を扱うことですが、そのためには、不動産を加工する技術を身に付ける必要があると思います。

不動産を 「加工」する技術

不動産を 「加工」する技術

齋藤 正志

現代書林

著者は積水ハウスに入社し、「自分年金」という言葉を考案しました。 そして、「自分年金」をつくる方法としてアパート経営を推奨し、40年間で570棟のアパートを販売したという実績があります。 その後に独立し、いまは不動…

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