近年、少子高齢化による空き家問題が話題になるなど、不動産の価値は今後、地方や郊外を中心に下落していくことが予想されています。本連載では、2級建築士・宅地建物取引主任者の齊藤正志氏の著書、『不動産を「加工」する技術』(現代書林)より一部を抜粋し、不動産を有効活用し、次の世代へも継承できる財産を作る「不動産加工」について解説していきます。

不動産を最高の「物」に仕上げていく

さて、「不動産加工」の定義です。世の中の「物」というものはほとんどが何らかの手を加える、つまり加工されてその「物」を価値あるものに変えて、人々に喜ばれています。

 

「不動産加工」とは、不動産に何らかの加工をすることにより、その不動産を最高な価値あるものに変えていき、世の中のために、そして所有する人のために変化させることと、考えています。

 

不動産の使い方は大変多くあります。使い方によれば大きな差が出ることもあります。それは、短期的な視点、中・長期的な見方によっても、使い方を間違えると大きな損失を生み出すこともあります。それを時代に合わせた、経験に基づき、新しい発想のもと、様々な研究を重ね、その不動産を最高の「物」に仕上げていくことが、私が考えている不動産加工であり、それらを取り扱う者の責任と考えます。

周辺地域社会に良い影響を与える不動産に

不動産は、加工により大きく三つの価値が形成されると考えています。

 

一つ目は社会的価値、二つ目は経済的価値、三つ目は持続的価値と、位置付けています。これらは密接に関係し、これらの価値を維持することで、周辺地域社会に良い影響を与え、よって不動産の価値がさらに向上する好循環を生み出すことができます。例えば、大きいものであれば、公共事業による美術館とか博物館、また、その街を象徴する建物等が考えられます。

 

身近なものでは、保育園とか老人ホームが考えられます。もっとも保育園については近隣から、うるさいから、建設に反対されるケースもあるようですが、一部の偏見でみられるケースを除き、社会には必要なものであることから、三つの価値が生まれてくるものではないかと思います。一方、環境を阻害するものや風俗的なものにより、一部の価値が強いものには、なかなか社会から厳しい見方がされることもあるようです。このような場合、将来的に持続することが困難になることも考えられます。

不動産を 「加工」する技術

不動産を 「加工」する技術

齋藤 正志

現代書林

著者は積水ハウスに入社し、「自分年金」という言葉を考案しました。 そして、「自分年金」をつくる方法としてアパート経営を推奨し、40年間で570棟のアパートを販売したという実績があります。 その後に独立し、いまは不動…

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