笑顔を絶やさず、フレンドリーな会話をすることが重要
前回の続きです。
またホテルのフロントでも、お客様をお迎えするときに、
Where are you from? 「どちらからですか?」
How was your flight? 「フライトはいかがでしたか?」
Is this your first trip to Japan/Tokyo? 「日本/東京へは初めてですか?」
のようにプラスαの声かけをするのが、英語のコミュニケーションの基本です。
先日訪れたパリのホテルは、どのスタッフからも当たり前のようにお客様との自然な会話が生まれていました。チェックインの作業をしながらフレンドリーに会話するなど、受付も完璧でした。
長い文章を話す必要はありません。業務を速やかにこなしながら、にこやかに会話をすることが大切なのです。笑顔を絶やさず短い言葉を交わしながら、お客様のために仕事をします。
一方では、仕事を事務的にこなし、必要なことだけを伝えればいいという仕事の仕方もあるでしょう。どちらがお客様へのおもてなしとして優れているかは、言うまでもありません。
もちろん、「笑顔で」「相手の立場に立って」を追求するあまり、相手の言いなりになってしまうのも決して正しいことではありません。プロとして笑顔でお客様と接することと同様に、クレームがあれば、プロとして凛とした態度で接することも時には必要になります。
一言を添える「ハートコミュニケーション」がカギ
ホスピタリティービジネスが成功するには、次のような図式が必要です。
「お客様の期待を超えて満足していただく」→「リピーターになっていただく」→「そのお客様の周囲の方にも来ていただく」→「その方たちにもリピーターになっていただく」
最終的にここへつなげていくためのおもてなしが、日本人には必要なのです。
コーヒーショップに来るお客様は、あたたかくおいしいコーヒーをタイムリーに受け取ることを期待して来店されます。ただし、おいしいコーヒーをこぼすことなくタイムリーに提供しただけでは、お客様の期待を超えるサービスまでには到達していないのです。
お客様の期待を超えて、満足していただくためには相手の心に残るハート・コミュニケーションが不可欠になってきます。たとえば、「寒くなってきましたね」とか、「咳がつらそうですね」といった、ちょっとした一言がリピーターになっていただくきっかけになるはずです。
人間としての感情の部分(ハート・コミュニケーション)とビジネスとして通さなければならない部分(ビジネス・コミュニケーション)、どちらか一方に偏ることなく、サービスの両輪として、その両方をバランスよく地道に積み上げていくことがキーポイントとなります。
この2つのコミュニケーションの使い分けについては、『グローバルで選ばれる「外国人観光客をリピーターにする」接客術』で、実践例をまじえてさらに説明しています。