「仕事のできる人+英語力」がグローバル人材ではない
企業の人材開発部門では「グローバル人材=仕事のできる人材+英語力」という前提で、古くは「国際人材の育成」、最近は「グローバル人材育成プログラム」を行ってきた。しかし、「仕事のできる人材」に「英語」を付加的に教育するという方法が現在ではもはや通用しないことは、現場で実務に当たっているビジネスパーソンの方なら実感しているだろう。
ではどのようなスキルが必要なのか?
ビジネスパーソンの意識について私がグローバル人材育成の現場で感じているのは、グローバルで活躍するためのスキルがトレーナブル(訓練によって習得可能)だというイメージを持っていないことだ。
トレーナブルであるためにはよくデザインされたトレーニング、プログラム、トレーナー、モチベートされた個人という要素が必要になってくる。
「MOOC」を積極的に活用している新興国のエリート
グローバル企業では優秀な人材を採用し、さらに優秀にするためにトレーニングを行っている。たとえばゼネラル・エレクトリック社(GE)のコーポレート・ユニバーシティ(企業内大学)「クロトンビル・リーダーシップ開発研究所」のように。
かつてはそれらの訓練を受けられる人たちは限られていたが、Webを通して議義の内容が世界中に配信されるようになり様相は変わっているのはお伝えしてきた通りだ。
グローバル化に対しモチベーションの高い新興国のエリートは、先に紹介したMOOC(Massive Open Online Course=大規模に開かれたオンライン講義)を積極的に利用して力をつけている。対する日本人エリート達は、日々の仕事に追われるばかりだ。
本書は、グローバル化に必要なスキルを、そうしたモチベーションの高い人に分かりやすく説明する目的で書かれている。こうしたスキルがトレーナブルであることを確信していただければ、パーソナル・グローバリゼーションの第一歩となるはずだからである。
本書のPartⅡからは、グローバル化に対応しうるスキルの取得に対し意識の高い人たちのために、5つの能力についてのツールを開示する。これらは独習で学びたい人にとって、グローバル人材の在り方を理解するための格好のツールだと、私は考えている。
この一つひとつを個人が習得すべき目標として位置づけていただきたい。