前回は、日本の教育システムを凌駕する「MOOC」とは何かを説明しました。今回は、大手電機メーカーに突如訪れた「グローバル化」の事例を見ていきます。

インド人技術者が世界中の研究者とコンタクトを取り…

以前、私は大手電機メーカー研究開発部門の方からこんな話を聞いた。

 

東京郊外に位置するその企業の研究開発部門は、広大な敷地を持ち研究が快適にできて申し分のない環境にある。しかしその研究所は大きな機関だったため、多くの技術者が技術力を発展させるための情報交換を、いままで通り日本人同士または国内のみで行っている状況だった。

 

そのことが問題視されるようになったのは、次のような出来事がきっかけだった。

 

それは、技術者として採用した、インド人の仕事ぶりに端を発した。彼は日本語が流暢で、イギリス訛のあるインド英語だが、ほぼネイティブに近い英語を操れた。

 

その彼は着任早々、その企業のすでに発表されているコアな技術情報について、インターネットを通じて世界とコミュニケーションしはじめた。まず自分のブログを立ち上げ、次に自分の研究分野の詳細をそのブログに書き込み、グーグルで検索した世界中の企業の研究開発部門とコンタクトをとりはじめたのだ。

 

驚いたことに数ヶ月後には彼のもとに、巨大なデータベースが構築されはじめた。そして中国、ヨーロッパからも次々に情報が集まりはじめたばかりか、東京郊外の研究所に各国から技術者が訪問するようになったのだ。

 

こうしたことは日本人技術者しかいなかった時代にはありえなかった。そのインド人技術者は、それまで日本人だけで構成されていたその企業の研究開発部門において、たった一人でグローバリゼーションの実態の一端を見せつけたのだ。

課題の緊急性を測り、具体的な行動に移せるかが重要

このような事例に対し、はたしてどれだけの日本企業が、あるいはどれだけの日本人ビジネスパーソンがつきつけられた課題の緊急性を理解し、即座に具体的な対策と実行に出られるだろうか? こうした外国人ビジネスパーソンと、日本人ビジネスパーソンはどのように協働すべきなのか?

 

またこうした外国人ビジネスパーソンが、あなたのキャリアにどのような影響を与えるだろうか?

本連載は、2017年8月25日刊行の書籍『パーソナル・グローバリゼーション』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

パーソナル・グローバリゼーション

パーソナル・グローバリゼーション

布留川 勝

幻冬舎メディアコンサルティング

変化の激しいグローバル化時代に必要とされるスキルについて、数多の日本企業のグローバル人材育成をサポートしてきたグローバル・エデュケーションアンドトレーニング・コンサルタンツ。 代表取締役の布留川勝氏がグローバル…

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