事業承継の前に、後継者と「会社の目標」を共有すべき理由

前回は、自社の客観的評価を事業承継に活かす「SWOT分析」の手法を紹介しました。今回は、事業承継をする前に、後継者と「会社の目標」を共有すべき理由を見ていきます。

現社長は「売上高・経常利益」の目安を数値化して示す

〈5年後にありたい姿〉

前回説明した「現在の姿」と対になる項目です。SWOT分析などを踏まえて、5年後に目標とする売上高、経常利益を記入します。ざっくりとした数字で構いませんが、悲観的な数字よりも、意欲的な数字を掲げて、前向きに事業承継に取り組めるようにしましょう。

 

後継者には将来の売上高や経常利益はイメージしにくいものです。当然儲けたいものの、どの程度まで実現可能なのか見当がつかないので、現社長が目安を数値化して示します。もちろん、経常利益を考えるならば原価や費用の計算が本来必要ですが、ここではそのような厳密な計算より、獲得したい経常利益を数字で表現することが重要です。

 

5年後にありたい姿は、後継者に安心して任せられる会社の姿であり、後継者にとっては当面5年間の目標となります。

 

目標実現に向け、重点的に取り組むべきことを整理

〈アクションプラン〉

5年後にありたい姿を実現するためのアクションプランを簡潔に記入します。

 

この時点でのアクションプランは、会社としてどういったことに重点的に取り組むのかという点を整理します。SWOT分析の機会と強みに着目して、新しい市場に参入することでも、新商品を開発することでもよいです。あるいは、大幅に転業しリアル店舗での販売をやめ、オンラインに特化しても構いません。大事なことは、会社として5年後のありたい姿に向かって、これから何をしていくのかを後継者との間で共有することです。

 

A4用紙1枚では物足りない、後継者と共有したいことはもっとあると思う人もいるかもしれませんが、この時点ではあえて情報量を絞っています。事業承継や後継者育成に対するハードルを下げ、取り掛かりやすくするためです。

 

作成時間の目安としては30分から1時間程度でしょう。ここに時間をかけすぎて書類作成が目的化してしまうと、その後の工程が進みません。後継者育成をスタートするためのツールだと割り切って、思いつくままに書き進めてください。

 

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連載オーナー社長による「計画的な後継者育成」のノウハウ

久保公認会計士事務所 代表

2006年、公認会計士試験に合格し、あずさ監査法人(現:有限責任あずさ監査法人)に入所。2011年に退職、経営コンサルティング会社を起業し、税理士法人の経営にも参画。東日本大震災時の中小企業再生支援で後継者育成の重要性に気づき、事業を後継者育成に特化。「3つの資格(公認会計士・税理士・中小企業診断士)」で会計戦略・財務戦略・経営戦略の面から育成支援を行う。

著者紹介

オーナー社長の後継者育成読本

オーナー社長の後継者育成読本

久保 道晴

幻冬舎メディアコンサルティング

経営者の高齢化が進む中で、後継者不在に悩む企業が増えています。 適任者が見当たらない、子どもに継ぐ意思がないなどの理由で次期社長の目途が立たず、やむなく廃業を選択する経営者も少なくありません。 本書はこうした悩…

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