前回は、会社の目標作成に税理士等の「第三者の視点」が重要である理由を紹介しました。今回は、オーナー社長が「最低限の会計知識」を身につけておくべき理由を見ていきます。

知識がないと「経営アドバイス」が理解できない

前回の続きです。

 

また、オーナー社長自身がまったく会計に対する知識がない状態で話をするのは避けるべきです。例えば、決算書(損益計算書や貸借対照表)、キャッシュフロー計算書や資金繰り表の見方やそれぞれの違いなどをわかっていない状態だと、適切な経営アドバイスをしてもらっても理解できません。

 

もし経営的なことが本当にわからないのであれば何を質問していいかもわからず、専門家がどんなに的確なアドバイスをしたとしても、理解できないという事態に陥ります。社長に多いのは知ったかぶりをしてしまう人です。

 

周りからはずっと社長、社長と持ち上げられてきているので今になって基礎的なことを聞くのを恥ずかしく思ったり、プライドが邪魔をしてなんとなくの雰囲気で話をしてしまったりします。しかし、税理士であれば社長としての苦労や努力、功績は重々承知なので、自身の立場をアピールする必要はありません。わからないことはわからないと、どんどん質問して吸収していきましょう。

 

貸借対照表の流動資産と固定資産の違いは何か、減価償却費とはどういう意味なのか、営業利益と経常利益は何が違うのか、元本返済と支払利息、信用保険料は決算書のどこに反映されているのか、経営者としてどこを注意して見ればよいのかなど、なんでも構いません。わからないことを積極的に口に出してください。

入門書を2~3冊読めば基礎的な部分を省いた相談も可能

ただ、個人的には入門書を2~3冊読んでおくことをおすすめします。そのほうが的を射た質問ができますし、基礎的な部分を省いて相談ができるので効率的です。入門書でわからなかった箇所に付箋を貼ったり、マーカーを引いたりして、専門家に質問してもよいでしょう。

 

実は、オーナー社長は決算書を理解するスタートラインとしては絶好の位置にいます。オーナー社長は会社の全体像を把握していますし、1年間に社内外でどのようなことがあったのか情報も集まっています。

 

会社全体としてどれだけ稼いだのか、資産をどれだけ持っていて、借入金等の負債がどれだけあるかを示したものが決算書であり、自然とオーナー社長の肌感覚と近いものになります。そのため、あのときの取引は決算書のどこに反映されているのかという観点で質問すると理解しやすくなります。

オーナー社長の後継者育成読本

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久保 道晴

幻冬舎メディアコンサルティング

経営者の高齢化が進む中で、後継者不在に悩む企業が増えています。 適任者が見当たらない、子どもに継ぐ意思がないなどの理由で次期社長の目途が立たず、やむなく廃業を選択する経営者も少なくありません。 本書はこうした悩…

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