▲トップへ戻る
ライバル銀行を使って「根抵当」の解除に成功した事例

今回は、ライバル銀行の協力で、銀行の「根抵当」の解除に成功した事例を見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

普段は「敵」である銀行が「味方」についた瞬間

ある会社で、含み損を抱える土地の売却を、進めていました。

売却には、根抵当を設定している、A銀行の協力が必要でした。

しかし、A銀行は、自分だけが有利になる条件を提示し、

それをのめないなら、この件はなかったことに、

と、体よく断わってきたのです。

根抵当を切り札にされて、

借入を全額返済したときに出直してこい!

と言われたようなものです。

そこに救いの手を差しのべてきたのが、

この会社との取引を希望していた、B銀行です。

その地域では、A銀行より格下の銀行です。

なので、A銀行にひとあわ吹かせたい、

という気持ちマンマンなのです。

A銀行とのこれまでの経緯を説明すると、

“ぜひ、協力させてください!”となったのです。

敵の敵は、味方です。銀行は時に、味方になるのです。

 

“で、どうすればいいんですか?”

経営者は、B銀行の支店長にたずねました。

“根抵当を外すには、全額返済すれば、いいんです。”

“そうですね。A銀行の支店長も、そう言ってました。”

“なので、

 A銀行に全額返済できる資金を、私共が御社にお貸しします。

 そのお金で、A銀行に全額返済してください。

 で、A銀行に抵当権の解除を申し入れてください。”

“A銀行は嫌がりませんか?”

“返していいですか?と聞いたら、絶対に嫌がります。”

“そうですよね。”

“なので、何も聞かずにA銀行に振り込んでしまうのです。”

“いいんですか?”

“いいんです。

 そうすれば、A銀行は、根抵当を解除せざるを得なくなります。”

 

恐るべし、B銀行の支店長です。

ライバル銀行を追い払うためなら、なんでもありなのです。

この対抗意識と行動力には、見習うべきものがあります。

銀行側の裏をかく「大胆な作戦」とは?

で、A銀行の根抵当が解除されたあと、

改めて、子会社で土地購入資金をB銀行から借りて、

当初考えていたスキームで土地の売買をし、

親会社はB銀行の借入を返す、ということになりました。

こうなれば、土地のオフバランスが、

当初の思惑通りに実現します。

B銀行にすれば、この会社でのA銀行のシェアを、

完全奪取した、という格好になるのです。

 

さらにB銀行の支店長が言いました。

“A銀行に全額返す日を決めて、

 その日の朝9時30分に、支店長とのアポをとって、

 銀行へ訪問してください。”

“どういうことですか?”

“振り込んだ直後に、根抵当の解除を申し入れるためです。”

B銀行の支店長は、よほどA銀行にうらみがあるのか、

なかなか手の込んだ作戦を教えてくれました。

“9時30分というのは、意味があるんですか?”

“A銀行には、9時すぎくらいに、私共から振込をしますから。”

“朝イチバンに振り込むんじゃないんですか?”

“朝イチバンだと、必ず口座の動きのチェックが入ります。

 となると、その時点で目について、

 訪問前に電話がかかってきます。それはちょっとやっかいです。

 9時過ぎに振り込んで、9時30分に訪問すれば、

 まだ、その時点では、全額振り込んだ事実に気づいていないはずです。

 こういうことは、その場で一気にズバッ!といったほうがいいんですよ。”

 

いやはやなんとも、

現役支店長が放つ言葉には、妙に説得力があります。

“アポをとるときの要件は、なんて言えばいいんでしょうか?”

“今後のことでご相談がありますので、とでも言っておいてください。”

B銀行の支店長の言うとおりに、

振込日を決め、A銀行のアポをとりました。

B銀行からA銀行へ振り込む手続きも完了しました。

で、ついに、そのXデーがやってきたのです・・・。

 

(続)

株式会社アイ・シー・オーコンサルティング 代表取締役

昭和40年 大阪府生まれ。

平成元年 関西大学卒業後、兵庫県の中堅洋菓子メーカーに入社。経理、総務、人事、生産管理、工程管理、広報など、主たる管理部門で実力を発揮。

平成17年 株式会社アイ・シー・オーコンサルティングに加わり、経営指導業務を開始する。
以降、長年の現場実務経験と、師匠である井上和弘(アイ・シー・オーコンサルティング会長)の《井上式経営術》を武器に、日々、中小企業の黒子としての経営指導に邁進している。

指導実績:財務改善、税務・銀行対策、労務問題改善、経営企画、管理会計、IT・システム化、事業承継など。
また、日本経営合理化協会主催「後継社長塾」(塾長:井上和弘)、に塾長補佐として参加し、後継社長の育成にも尽力している。

著者紹介

連載経営者必読!融資を勝ち取る銀行交渉術

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

 

経営者の財務力を一気に アップさせる本〔補訂版〕

経営者の財務力を一気に アップさせる本〔補訂版〕

古山 喜章,井上 和弘

東峰書房

数字が苦手な人にこそ読んで欲しい!本書では、会社経営にまつわる数字を読み解き財務力をアップさせる方法を解説します。数字が苦手だからこそとことんわかりやすく理解する方法を見出した筆者。そのノウハウをお伝えし、経営…

 

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧