従来型の、いわゆる「帳簿屋さん」的な税理士
今回は、税理士が保険の提案をしない、3大理由を見ていきます。
①従来型のいわゆる「帳簿屋さん」で、コンサルティング業務を行っていない、行うつもりもない
いわゆる「保険知識がまったくないタイプの税理士」「税のプロではあっても、金融のプロではない税理士」になります。
税理士は、会社が作りあげたさまざまな取引について、「記帳・監査等を行い、税務署に代理で申告をする」というのが一般的な理解と思いますが、最近では、税理士の顧問先獲得競争が熾烈を極めており、ただ過去の帳簿を整理するだけではなく、将来の事業経営のサポートやアドバイスまで行うといったコンサルティングに力を入れる税理士事務所が増えています。
税理士は、「過去の数字のつじつまをあわせる仕事でなく、未来の数字をいっしょに創りあげる存在でなければだめだ!」などといったスローガンが、よく聞かれるようになりました。
そんな中でも、「うちは面倒くさい」「新しく何かを覚えるのが大変だ」「旧来型の税理士業務で十分食べられている」などの理由で、コンサルティング業務を行っていない税理士事務所もあります。そういった事務所に対していくらコンサルティングを求めても、その経験は乏しく、いい提案がくるはずもありません。
この場合の税理士はあくまで「帳簿をしっかり作る人」「コンサルティングを期待してはいけない人」と位置づけて、自ら勉強するか、しかるべき人に相談する必要があります。
「やらないほうがいい」と頭ごなしに否定されることも
②保険での各種対策に関して、誤解や、独自の解釈や見解を持ちすぎているケース
これは、頭では多少の理解があっても、いろいろ難癖をつけて、結局、最後まできっちりコンサルティングを行わないタイプです。本書でもいくつかお伝えしたように、生命保険による対策では、他のさまざまな金融商品やスキームと比較しても、驚くほど効果の高い対策が多々あります。そのため、初めて保険の対策を見たときに、
●なぜ保険だけこんなことが許されるのか?
●国税から免許をもらって食べているのに、そんな効果の高い提案は、人としてできない!
などとアレルギー反応を示される税理士は少なからずいるようです。そのため、顧問先が持ち込んできた対策について、保険会社や税務署、金融庁等に確認もせず、「それはやめておいたほうがいいのでは?」「あまり聞いたことないからやらないほうがいい」と、頭ごなしに否定する場面もよく見かけます。
中には、最高裁や国税庁の取扱でOKが出ている事例にもかかわらず、「いや、そんな効果のあるものはこの世ではありえない」「確かに効果は高いのかもしれないが、私の使命は、税金を支払う黒字企業を増やして、世のため国のため税務署のために働くことだ」と言い切る税理士もいて、この税理士は果たして、徴税者側の人間か、納税者側の人間か、よく分からないケースもあります。
十分な調査をせず、頭ごなしに「その対策はダメだ」といった結果、顧問先から、顧問契約解除など、責任を問われた税理士も跡を絶ちません。
もしいつも相談している税理士の抵抗にあってしまったら、
●他の法人ではOKなのに、なぜうちはダメなのか?
●なぜ他の税務調査ではOKなのに、うちはダメなのか?
ということについて、正確な答えをもらうようにしておきたいところです。このタイプの税理士については、普段の税法の条文にこだわりすぎて、保険に対する独自のカルチャーを理解していないことも多く、結果としてトラブルや顧問先への不作為の不利益の提供などが起きてしまいます。
次回は、税理士が保険の提案をしない3つ目の理由を見ていきます。