「10年物国債」にも多くの銘柄が存在
第1回で説明したように、長期金利の代表的指標とされているのは、10年物の国債利回りですが、10年物国債と一口にいっても多くの銘柄があり、発行条件が異なっています。日本の長期金利の指標とされるのは、「新発10年国債利回り」です。
新発10年国債とは、直近に発行された国債のことです。その名の通り「新しく発行された」10年国債です。この新発10年国債が流通市場で取引される際の利回りが、日本の長期金利の指標とされます。
時間が経過するにつれ、残存期間が短くなる「債券」
ところで、債券は株式とは異なり、時間が経過するにつれて残存期間が短くなっていきます。例えば、現在、残存期間10年の債券でも1年経過すると残存期間が9年になってしまいます。
そうすると、たとえ同一の債券であっても1年前と同じ性質を持っているとはいえなくなります。このようなことを避け、「10年債」としての性質を維持するために、長期金利として参照される10年国債は、新しく発行されるたびに、最新の銘柄に入れ替えられています。
下記図表にある通り、仮に現在の新発10年国債が「347回債」とすると、次に新しい10年国債が発行されると「348回債」へ、その次は「349回債」へと変わっていきます(⇒用語解説)。
[図表]新発10年国債は入れ替わっていく~銘柄変更
用語解説 回号
債券は同じ発行体が何度も発行を繰り返す場合があります。発行条件が異なる債券を銘柄ごとに区別するため、「回号」という番号を付します。例えば、2017年7月時点の新発10年国債は「10年利付国債(第347回)」ですが、第347回という回号が付されています。
以上、連載第1~4回では債券利回りの基礎を解説してきました。ここまでのまとめは、以下のとおりです。次回からは、長期金利の変動要因について解説していきます。