債券の信用リスク・・・「格付け」と「利回り」の関係

今回は、債券の「格付け」と「利回り」の関係について見ていきます。※本連載は、瀬良礼子氏をはじめとする三井住友信託銀行マーケット事業の著書、『60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ』(NHK出版)の中から一部を抜粋・再編集し、「債券市場」の見方・読み方をご紹介します。

高い利回りは、投資家がリスクを負う「見返り」

前回までは、長期金利が10年国債利回りであることを前提に説明してきました。しかし、債券には政府が発行する国債のほか、地方公共団体が発行する地方債や、企業が発行する社債などがあります。発行体の信用力はそれぞれ異なるため、例えば同じ10年債であっても、国債と社債では利回りに格差が生じます。

 

信用リスクとは、債券の発行体である企業などの財務状況が悪化して利息や償還金が支払われなくなるリスクのことです。国債はその国で最も信用力の高い発行体ですので、一般的に信用リスクはないとみなされます。

 

しかし、企業は財務状況の良し悪しにより、要求される利回りが異なります。また、優良企業だったものの、業績悪化により信用力が低下すると、要求される利回りが拡大します。格付けの低い、つまり信用リスクが高い債券に関しては、投資家はそのリスクを負うだけの「見返り」が必要なため、利回りが高くなります。

 

多くの債券は専門機関の「格付け」が付与されている

市場で取引される多くの債券には格付け会社と呼ばれる専門機関によって格付けが付与されています。格付け機関は、債券発行体の資金繰りが行き詰まって利息や償還金の支払いが滞るリスクを判断し、安全性の高いものから順に記号・数字を付けて格付けしています(図表参照)。投資適格は、格付けが一定以上のものを指し、それより低いものは「投機的格付け」などと呼ばれます。
 

[図表]代表的な格付け記号一覧

 

連載第5~14回で解説した、長期金利の変動要因のまとめは、以下のとおりです。最終回までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

 

筆頭執筆スタッフ・プロフィール:
瀬良 礼子(三井住友信託銀行 マーケット・ストラテジスト)
1990年に京都大学法学部卒業後、三井住友信託銀行に入社。公的資金運用部にて約6年間、受託資産の債券運用・株式運用・資産配分業務に携わった後、マーケット企画部で自己勘定の運用企画を担当。以後、約20年にわたり、為替・金利を中心にマーケット分析に従事している。また、2000年に「金融マーケット予測ハンドブック」の執筆スタッフの一員となり、継続して改訂を担当している。2013年発行の第5版以降、執筆者代表として全体の監修も担当している。
情報が付加価値の源泉との意識をもちつつ、「経済統計など実際のデータをあたりながら、金利・為替市場の現状を読み解き、未来への展望を探る」、というスタイルで市場分析・予想を行っている。

著者紹介

連載基礎から学ぶ金融マーケット~債券市場と長期金利の関係

 

 

60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ

60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ

三井住友信託銀行マーケット事業

NHK出版

株や投資信託で儲けたい人も、退職金を運用したい人も、NISAやiDeCoをお得に使いたい人も、まず必要なのは金融の知識! 現役マーケット・アナリストである著者が、わかりやすく金融のしくみを伝授する。著者の資産運用成績も…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧