円安が金利上昇圧力になるメカニズム
最近では、個人投資家にも海外の金融資産への投資が身近になっているように、国境を越えた資金の動きが活発です。日本の投資家が海外の債券を購入する一方で、海外の投資家も日本の債券を購入します。このように国際間の取引が活発になると、為替レートや海外金利が日本の長期金利にも影響を及ぼします。
まず、為替レートが日本の長期金利に及ぼす影響を考えてみましょう。
円安になると、日本が海外から輸入している商品の価格が値上がりします。なぜなら、例えば1ドルで輸入している商品は、円安が進むと100円から110円へと円建ての価格が上昇するからです。それが国内の他の物価へも波及すると、金利上昇へとつながります。
また、円安になると、海外投資家が日本の債券を外貨に換算するときに価値が目減りします。円安は海外投資家の債券売りを促し、金利上昇圧力となります。
円高はこの逆の動きとなります。
なお、影響の波及の順番が必ずしも「為替レート→金利」ではないことに注意が必要です。背景にある経済・金融の環境によっては、「金利(海外との金利差)→為替レート」となる場合もあります。
[図表1]為替レートが長期金利に及ぼす影響
米国の金利上昇=日本の長期金利上昇になる理由
次に、海外金利が日本の長期金利に及ぼす影響を考えてみましょう。
米国金利を例にします。米国金利が上昇し日本の金利よりも魅力的になると、日本の投資家が米国の債券を買います。すると、日本の債券の買い手が減少し、金利上昇につながります。また、米国債券を購入するために円を売ってドルを買うので、円安となり、さきほどの為替レートの影響の経路をたどって、金利上昇へとつながります。
米国金利の低下の場合は、この逆の動きとなります。
[図表2]米国金利が日本の長期金利に及ぼす影響