今回は、「債券価格」と「利回り」の関係を計算式から読み解いていきます。※本連載は、瀬良礼子氏をはじめとする三井住友信託銀行マーケット事業の著書、『60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ』(NHK出版)の中から一部を抜粋・再編集し、「債券市場」の見方・読み方をご紹介します。

債券価格と利回りは「逆方向」に動く

もう一度、債券利回りの計算式を確認してみましょう。

 

債券の利回りは、現在の債券価格から、以下の式で計算することができます。

 

[図表1]

 

なお、前回では現時点で債券購入することを前提にして説明しましたので、「債券価格」の部分を「購入価格」としていましたが、ここでは現在市場で取引されている時価が「債券価格」です。

 

債券が発行されるときに、年当たり利息と額面価格は決まっています。また、償還期限も決まっているため、残存期間は価格や利回りの変動から影響を受けません。

 

したがって、式の左辺と右辺が常に等しくなるためには、図表2にあるように、債券価格が上昇しているときには利回りは低下し、逆に、債券価格が下落しているときは利回りが上昇するという関係がみえてきます。

 

[図表2]債券価格と利回りの関係

債券価格と利回りは「セット」で決まる

債券価格と利回りの関係をわかりやすく示したのが図表3です。この図は、前回の利回り計算例を用いて作成しました。利回りが上昇すると債券価格が下落、逆に利回りが低下すると債券価格が上昇するという、利回りと債券価格の逆相関の関係がわかります。

 

[図表3]債券価格と利回りの変化の例

 

債券の価格と利回りは、どちらが先に決まるというものではなく、コインの表と裏のように、セットで決まるもので、表示の仕方が異なるだけです。同じ債券を、価格でみるか、利回りでみるか、という違いです。

60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ

60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ

三井住友信託銀行マーケット事業

NHK出版

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