被災者が本当に必要としているのは「現実的な解決策」
東日本大震災の発生は多くの人を恐怖に陥れました。筆者は仙台出身で、幼い頃、東日本大震災に匹敵する大地震(宮城県沖地震)を経験していますので、第一報を聞いた時には、当時の記憶が一気に甦りました。
こうした災害が発生した直後は、人々の不安心理が一気に高まります。地震とは直接関係していなかった人でも、この先、日本はどうなってしまうのだろうかと不安を感じたのではないかと思います。
日本では震災をきっかけに何かと「安心」というキーワードが使われていますが、こうした非常事態においてもっとも大事なことは、正しい情報を得ることです。正しい情報を得ることができれば、正しい対処ができますから、それは安全につながり、最終的には安心をもたらします。
今回の震災では筆者の親族も被災していますが、被災した人が本当に必要としているのは、安心というキーワードではなく、現実的な解決策なのです。
人々が不安になるのは、この先どうなるのかという情報がないからです。仮に悪い情報であっても、先が見通せると人の行動は変わってくるものです。
追い込まれた経営者にとって「土・日」が苦痛な理由
災害とはまったく違う話題ですが、情報について興味深い話があります。
経営に行き詰まり、まさに生きるか死ぬかという状況に追い込まれた企業の経営者にとって、もっとも嫌な曜日はいつでしょうか?それは土曜日と日曜日なのですが、その理由は情報が入らなくなってしまうからです。
経営が苦しくなった企業の経営者にとって、本来なら平日は地獄の日々です。金融機関から借金の返済を迫る連絡が来たり、取引先が商品を引き上げたりするなど、厳しい出来事が続きます。ところが土日になれば、銀行や取引先などはすべて休みになりますから、こうした動きはピタッと止まります。過酷な状況に置かれた経営者であっても、土日だけは少しだけ一息つけるように思えます。
ところが、この土日が経営者にとっては耐えがたい苦痛なのです。
その理由は、物事が前に進まないため今後、どうなるのか分からないという不安が一気に膨れ上がってしまうからです。
平日であれば、悪い結果であっても物事が進展していきますから、たとえ最悪の状況であっても先を見通すことができます。ところが、土日にはそれがなく、今後、良くなるのか、悪くなるのかも分かりません。この状態が何より不安になるのです。
筆者は30歳でサラリーマンを辞め、会社の経営をしてきました。ここまでの状況に追い込まれたことはありませんが、気持ちはよく分かります。この感覚は万国共通のようで、米国の企業家も同じようなことを言っていました。