「介護が必要」イコール「即施設入所」ではない
かかる費用が比較的少額で済む在宅介護は、介護保険が適用される各種サービスを使うことで、家族の介護負担を大幅に減らすことができます。本人が住み慣れた家で引き続き暮らせるところも大きなメリットです。
親が病気や事故で突然要介護状態になると、「親と一緒には暮らせないから施設に入所させなければいけない」と慌てて施設探しをはじめるケースがよくあります。しかし、決して「介護が必要」イコール「即施設入所」ではありません。
おそらく多くの人が想像する以上に、在宅の介護サービスでできることはたくさんあります。要介護度が高かったり認知症を発症していたりしても、条件次第ですが、本人のADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)を十分に保つことが可能です。
たとえば、ひとり暮らしで、「今日は息子が帰ってくる」と毎日布団を敷いて待っているほど現状認識ができない認知症の80代男性でも、ホームヘルパーを週2回(各45分)と、デイサービスを週2回、そして毎日の配食サービスを手配することにより、在宅で生活ができているケースがあります。息子さんがこまめに様子を見に来ることで、問題なく生活を維持できているのです。
まずは「お試し」で介護保険サービスを体験
なお、介護生活がはじまったばかりの高齢者の中には、介護保険サービスで他人にケアしてもらうことを極端に嫌がる人もいます。
しかし、はじめはかたくなに拒んでいてもやがて週1回のデイサービスを心待ちにするようになったという話もよく聞きます。まずは一度「お試し」のつもりで利用してもらい、合わなければ数カ所体験して本人が通いたいと思える施設を選ぶといいでしょう。
[図表]ユニット型指定介護老人福祉施設料金表(例)