自治体の配食サービス、ウェブカメラでの安否確認
<ケース5>要支援1の母親が実家でひとり暮らし、子どもが都市圏在住
実家は持ち家で土地があり、母親はそこを離れたくないが、子どもが実家に戻ろうとしても、職がないので帰るに帰れないというのはよくあるケースです。
しかし、親を無理に呼び寄せたり、家族で思い詰めて子どもが仕事を辞めてしまったりしなくても、安否確認をしながら、離れて暮らすことはできます。
近年は独居の高齢者を対象に、身元保証を請け負うビジネスも増えてきました。入会金や月会費など数十万~数百万円の出費を覚悟しなければなりませんが、遠方の家族に代わって、なにかあった時に駆けつけてくれます。
また、安否確認だけであれば、月々数千円で行う手段はたくさんあります。たとえば自治体の配食サービスは、ただ配るだけでなく、「お元気ですか?」などと声をかけて安否確認をしてくれます。もし倒れているところを見つけたら、すぐに、救急車を呼んでくれます。
また、ウェブカメラを使えば、親や部屋の様子を把握できるので遠方に住む家族の見守りに活用できます。
さらに、親にスマートフォンを持ってもらうのも有効です。高齢者にスマートフォンなど扱えないのではと考えがちですが、簡単に操作できる高齢者用の製品もあるので検討してください。
スマートフォンであれば、テレビ電話機能を使って顔色や表情、室内の様子を確認することができます。また最近は高齢者の見守り用アプリもたくさんあるので、それらを利用すれば簡単に安否確認ができます。
両親を自分の自宅近くに呼び寄せることが安心だと考える人も多いのですが、実際には近くに住んでいてもなかなか会わない、ということも少なくありません。遠方にいても週に一度、電話やメールなどでやりとりをするほうが、しっかりした安否確認になります。また定期的に連絡をとることで、「オレオレ詐欺」のような高齢者を狙った犯罪の抑止にも効果があります。
用事がないと連絡がおざなりになってしまうこともあるため、前にも説明したように、ネットスーパーなどのサービスを代行して発注することにすれば、定期的に連絡を取ることが習慣化するのでお勧めです。
隣近所にも、プレッシャーをかけない程度に協力要請を
その上で、実際に親のまわりで見守ってくれる人を見つけておきます。訪問介護のヘルパーはもちろん、隣近所の人にも協力を仰ぎます。お盆や正月に帰省した際は、近所の人にお土産を渡すなど、心配りをしておきましょう。
その際、前述のとおり「親がなにかご迷惑をかけたら、私から注意しますので教えてください」と相手にプレッシャーを与えない形で依頼して、連絡先を渡しておけばよいでしょう。
要介護度が上がって在宅介護が難しくなった時は、施設に入所させるなど、親の生活基盤を移す必要があります。子どもの住んでいる都市圏で施設を探すなら、そのエリアの地域包括支援センターに相談しましょう。実家の近くで施設を探すなら、家族が遠方にいる高齢者でも入所できる施設を探します。
[図表]在宅介護で活用できる介護保険サービス以外のアイテム