前回は、在宅介護を希望する場合に活用できる介護保険サービスを紹介しました。今回は、家族が「軽度の認知症」になった際に役立つ介護保険サービスを見ていきましょう。

家族の負担を大きく軽減できる「デイサービス」

<ケース3>同居の父親(単身)が認知症を発症(要介護1)

 

共働きの息子の家庭に同居する父親が軽度の認知症になり、日中家族が留守の時間帯に不安を感じるようになった場合は、デイサービスを利用する方法があります。親の年金収入は月額20万円程度です。

 

まず、日中はデイサービスに週2〜3回通ってもらいます。外に出ていろいろな人と話すことでいい刺激になり、気分転換にもなります。食事や入浴もついているため、家族の負担は大幅に軽減されます。利用料は月額2万円程度になります。

 

[図表]ケース3の場合 父親(要介護1、認知症を発症)が子ども夫婦と同居

 

また、週末や家族が外出する場合はショートステイを利用してもらいます。1泊2日で1万円程度かかりますが、家族のストレス解消にも役立ちます。

 

介護に必要な費用は、デイサービスで2万円程度、2泊3日のショートステイを月1回利用なら1万5000円程度で総額4万円程度で済みます。

認知症の支援団体の力を借りて、症状の悪化を防ぐ

認知症を発症しても軽度であれば、家族の対応次第で症状はかなり落ち着きます。「認知症の人と家族の会」など、認知症の人とその家族をフォローする団体がありますので、対応方法を学び、本人の症状が悪化しないようにすることが大切です。

 

症状が落ち着いていて問題行動や徘徊などがなければ、日中に家族が不在でもなんとかなるものです。近所にもあらかじめ声をかけておくことで、なにかあれば家族に連絡が来るようにしておくと安心です。

 

また、徘徊が心配であれば、徘徊対策サービスなど自治体が独自に行っているサービスもあるので、地域包括支援センターに相談して利用するといいでしょう。GPSを利用したり、ウェブカメラなどのITを活用することも安心につながります。

本連載は、2017年6月23日刊行の書籍『人生を破滅に導く「介護破産」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。介護保険サービスの金額は、社会福祉法人サンライフの金額を参考に記載しています。実際の金額は利用する施設などへお問い合わせください。本来、施設の種類によって「入居」「入所」と書き分けるべきですが、文章の分かりやすさに配慮し、すべて「入所」に統一しています。

人生を破滅に導く「介護破産」

人生を破滅に導く「介護破産」

杢野 暉尚

幻冬舎メディアコンサルティング

介護が原因となって、親のみならず子の世帯までが貧困化し、やがて破産に至る──といういわゆる「介護破産」は、もはや社会問題の一つになっています。 親の介護には相応のお金がかかります。入居施設の中でも利用料が安い…

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