今回は、株式投資でプロの技法を実践するための「練習売買」のポイントを解説します。※本連載は、投資顧問会社「林投資研究所」代表取締役の林知之氏の著書、『プロの視点 うねり取り株式投資法 基本と実践』(マイルストーンズ)の中から一部を抜粋し、個人投資家のための「うねり取り」実践のポイントを紹介します。

単純なトレードで区切りをつける「単発」から始める

いくら頭で理解しても、実際にやってみないとわからないことは多い。コーヒーの味について「にがい」とか「香ばしい」と説明しても、飲んでみないと“どんな味か”を知ることはできない。

 

うねり取り、プロの売買を実践する第一歩としては、あえて分割を使わずに、最低単位での単発トレードをするべきだ。

 

1,000株単位の銘柄ならば、1,000株買い→1,000株手仕舞い売り、あるいは、1,000株カラ売り→1,000株買い戻し、という単純なトレードで区切りをつける練習である。

 

現物で買えばいつまでも持ち続けることができるが、ポジションを取るのは現金を殖やすための手段なのだから、ポジションを放置せずに必ず区切りをつけなければならない。

 

こんなふうに単発のトレードを何回か行ったら、すぐに分割の練習に進むことを勧めたい。

 

依然として練習段階だが、チマチマとしたこづかい銭のトレードにとどまらず、資産運用のトレードを目指すのだから、ある程度大きな資金を動かす最終的な状態を想定しないと練習にならない。

 

それでも、練習の段階ではあまりハードルを上げず、「1,000株買い、1,000株買い」あるいは「1,000株カラ売り、1,000株カラ売り」という単純な2分割の仕掛けが基本である。

 

トレードのサイズ、つまり売買する数量が増えれば、分割の回数も増えていく。だが3回の分割をしただけでも意外と複雑で混乱する。準備の段階として、この2分割をしばらく続けることが大切だ。

 

いきなり大きな資金を動かすと必ずケガをする。心の底から「つまらない」と思うかもしれないが、2分割の練習を半年か1年か、辛抱強く続けてほしい。

真剣さを生み出す「口座の設定」の仕方

練習売買の大切なポイントを、2つ挙げておきたい。

 

1つめは、真剣にやること。数量を極力抑えた練習とはいえ、実際に資金を動かしてポジションを取るのだから、FX取引で遊ぶような感覚になってはいけない。場帳やチャートを凝視しても先行きがわかるようにはならないが、真剣に想定し、“確信”がもてるときに出動する(仕掛ける)。そして、必ず手仕舞いする。ダメだったら早めに切る、練習だから常に少し早めに手仕舞いしていい。

 

この真剣さを生むのが、「口座の設定」である。

 

例えば、1,000万円の資金を予定しているが、練習売買で使うのは50万円だとしよう。ここで、練習のために50万円だけ取引口座に入れる、というのは感心しない。予定している1,000万円を取引口座に移し、「自分は1,000万円の運用をスタートしたんだ」と自分に言い聞かせて50万円の練習売買を行うのがオススメだ。

 

意識は1,000万円、実際は50万円だから緊張が少なくてすむ、塩漬けばかりの人を横目に“ゆとり”のある売買の心地よさを味わうので、一石二鳥ならぬ一石三鳥の練習が実現する。

 

練習=いいかげん、ではダメだ。

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    本連載は、林知之氏の著書『プロの視点 うねり取り株式投資法 基本と実践』(マイルストーンズ)から一部を抜粋したものです。稀にその後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
    掲載している情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自分の判断で行ってください。本連載を利用したことによるいかなる損害などについても、著者および幻冬舎グループはその責を負いません。

    プロの視点 うねり取り株式投資法 基本と実践

    プロの視点 うねり取り株式投資法 基本と実践

    林 知之

    マイルストーンズ合資会社

    価格の自律的な動き、つまり自然に発生する変動を利用して利益を上げる「うねり取り」は、数多くのプロ相場師が好んで利用している。この「うねり取り」による売買法を基本から実践まで、幅広く、丁寧にわかりやすく解説したの…

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