単純なトレードで区切りをつける「単発」から始める
いくら頭で理解しても、実際にやってみないとわからないことは多い。コーヒーの味について「にがい」とか「香ばしい」と説明しても、飲んでみないと“どんな味か”を知ることはできない。
うねり取り、プロの売買を実践する第一歩としては、あえて分割を使わずに、最低単位での単発トレードをするべきだ。
1,000株単位の銘柄ならば、1,000株買い→1,000株手仕舞い売り、あるいは、1,000株カラ売り→1,000株買い戻し、という単純なトレードで区切りをつける練習である。
現物で買えばいつまでも持ち続けることができるが、ポジションを取るのは現金を殖やすための手段なのだから、ポジションを放置せずに必ず区切りをつけなければならない。
こんなふうに単発のトレードを何回か行ったら、すぐに分割の練習に進むことを勧めたい。
依然として練習段階だが、チマチマとしたこづかい銭のトレードにとどまらず、資産運用のトレードを目指すのだから、ある程度大きな資金を動かす最終的な状態を想定しないと練習にならない。
それでも、練習の段階ではあまりハードルを上げず、「1,000株買い、1,000株買い」あるいは「1,000株カラ売り、1,000株カラ売り」という単純な2分割の仕掛けが基本である。
トレードのサイズ、つまり売買する数量が増えれば、分割の回数も増えていく。だが3回の分割をしただけでも意外と複雑で混乱する。準備の段階として、この2分割をしばらく続けることが大切だ。
いきなり大きな資金を動かすと必ずケガをする。心の底から「つまらない」と思うかもしれないが、2分割の練習を半年か1年か、辛抱強く続けてほしい。
真剣さを生み出す「口座の設定」の仕方
練習売買の大切なポイントを、2つ挙げておきたい。
1つめは、真剣にやること。数量を極力抑えた練習とはいえ、実際に資金を動かしてポジションを取るのだから、FX取引で遊ぶような感覚になってはいけない。場帳やチャートを凝視しても先行きがわかるようにはならないが、真剣に想定し、“確信”がもてるときに出動する(仕掛ける)。そして、必ず手仕舞いする。ダメだったら早めに切る、練習だから常に少し早めに手仕舞いしていい。
この真剣さを生むのが、「口座の設定」である。
例えば、1,000万円の資金を予定しているが、練習売買で使うのは50万円だとしよう。ここで、練習のために50万円だけ取引口座に入れる、というのは感心しない。予定している1,000万円を取引口座に移し、「自分は1,000万円の運用をスタートしたんだ」と自分に言い聞かせて50万円の練習売買を行うのがオススメだ。
意識は1,000万円、実際は50万円だから緊張が少なくてすむ、塩漬けばかりの人を横目に“ゆとり”のある売買の心地よさを味わうので、一石二鳥ならぬ一石三鳥の練習が実現する。
練習=いいかげん、ではダメだ。