まずは1,000株で値の推移を探り確かめる「試し玉」
「分割が必須」という項で、まずは最小単位の1,000株を予測した方向に建てる、と説明した。この1,000株を、「試し玉」と呼ぶ。敵情を知るために出す斥候(せっこう)、つまり偵察隊のようなもので、「探りの玉」という言い方もある。まさに、値動きを手探りで確かめるためのポジションだ。
選定した銘柄の値動きを追いながら自分の予測を確立し、ポジションがゼロの状態で予測をさらに鮮明な値動きイメージに変える。徐々に臨場感が湧くが、どうしたって“絵に描いたような成功”“ウハウハの利益”といった、現実感のない空想に傾きやすい。
だから、未だかかわりの浅い相手(選んだ銘柄)に何らかのかかわりをつくり、値動きから受ける“感じ”をホンモノにしたいわけだ。それが、試し玉の役割である。
流れをつかんだあと「本玉」を使い進退を探る
「よし、上がるな」と感じ、「そろそろ出動だ」と決断しても、具体的なタイミングを決めるのは難しい。それに「最安値で買う」とか「最高値で売る」という“一点狙い”は非現実的だ。
そこで、試し玉という技を使う。試しとして「まずは1,000株」ならば、小さなきっかけで建てることができる。その試し玉を利用し、「このまま予測した方向に向かってくれるか」という観点で値の推移を見守りながら、本格的にポジションを取っていくかどうかの最終決断をするのである。
もちろん、「最終決断後に撤退してはいけない」などというルールはないし、試し玉だって損益が発生する現実のポジションだが、予測を当てるのが難しいから「流れについていく」、そのために、あえて自分の中で「試し玉」という存在を設定するのだ。
最初に建てる試し玉(偵察隊)、その後に本格出動する本玉(ほんぎょく、本隊)と分けて考えると、自分で自分の行動をコントロールしやすくなる。
2回目以降の本玉を入れ始めたあとも、「本玉のスタート」「本玉の中盤」といった明確なイメージをもつようになり、進むか撤退するかを柔軟に考える姿勢が生まれる。