今回は、具体的な株式の値動きの流れをつかむ「試し玉」を使った投資法について見ていきます。※本連載は、投資顧問会社「林投資研究所」代表取締役の林知之氏の著書、『プロの視点 うねり取り株式投資法 基本と実践』(マイルストーンズ)の中から一部を抜粋し、個人投資家のための「うねり取り」実践のポイントを紹介します。

まずは1,000株で値の推移を探り確かめる「試し玉」

「分割が必須」という項で、まずは最小単位の1,000株を予測した方向に建てる、と説明した。この1,000株を、「試し玉」と呼ぶ。敵情を知るために出す斥候(せっこう)、つまり偵察隊のようなもので、「探りの玉」という言い方もある。まさに、値動きを手探りで確かめるためのポジションだ。

 

選定した銘柄の値動きを追いながら自分の予測を確立し、ポジションがゼロの状態で予測をさらに鮮明な値動きイメージに変える。徐々に臨場感が湧くが、どうしたって“絵に描いたような成功”“ウハウハの利益”といった、現実感のない空想に傾きやすい。

 

だから、未だかかわりの浅い相手(選んだ銘柄)に何らかのかかわりをつくり、値動きから受ける“感じ”をホンモノにしたいわけだ。それが、試し玉の役割である。

流れをつかんだあと「本玉」を使い進退を探る

「よし、上がるな」と感じ、「そろそろ出動だ」と決断しても、具体的なタイミングを決めるのは難しい。それに「最安値で買う」とか「最高値で売る」という“一点狙い”は非現実的だ。

 

そこで、試し玉という技を使う。試しとして「まずは1,000株」ならば、小さなきっかけで建てることができる。その試し玉を利用し、「このまま予測した方向に向かってくれるか」という観点で値の推移を見守りながら、本格的にポジションを取っていくかどうかの最終決断をするのである。

 

もちろん、「最終決断後に撤退してはいけない」などというルールはないし、試し玉だって損益が発生する現実のポジションだが、予測を当てるのが難しいから「流れについていく」、そのために、あえて自分の中で「試し玉」という存在を設定するのだ。

 

最初に建てる試し玉(偵察隊)、その後に本格出動する本玉(ほんぎょく、本隊)と分けて考えると、自分で自分の行動をコントロールしやすくなる。

 

2回目以降の本玉を入れ始めたあとも、「本玉のスタート」「本玉の中盤」といった明確なイメージをもつようになり、進むか撤退するかを柔軟に考える姿勢が生まれる。

本連載は、林知之氏の著書『プロの視点 うねり取り株式投資法 基本と実践』(マイルストーンズ)から一部を抜粋したものです。稀にその後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
掲載している情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自分の判断で行ってください。本連載を利用したことによるいかなる損害などについても、著者および幻冬舎グループはその責を負いません。

プロの視点 うねり取り株式投資法 基本と実践

プロの視点 うねり取り株式投資法 基本と実践

林 知之

マイルストーンズ合資会社

価格の自律的な動き、つまり自然に発生する変動を利用して利益を上げる「うねり取り」は、数多くのプロ相場師が好んで利用している。この「うねり取り」による売買法を基本から実践まで、幅広く、丁寧にわかりやすく解説したの…

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