成長期に生えた髪の毛が一気に抜ける「分娩後脱毛症」
●分娩後脱毛症
「分娩後脱毛症」とは、分娩後2~3カ月以内に生じる脱毛症で、慢性休止期脱毛症と同じような症状が現れます。
妊娠後期には、エストロゲンが増加する影響で毛周期の成長期が長くなり、退行期に移行しなくなります。ところが、分娩後は2~3カ月でエストロゲンの量が元に戻り、ヘアサイクルも成長期から急速に休止期に移行します。それまでの成長期でたくさん生えた髪が休止期に入り、一気に抜けてしまうのです。
もともと抜けるはずの髪の毛が抜けるべきときに抜けず、長い成長期を経たあとにまとまって抜けるため、一時的に見た目も薄く感じてしまいます。
症状としては、抜け毛の増加から頭髪全体のボリューム感の減少、地肌が透けて見えるような状態などがあります。また、前頭部の生え際から後退していくこともあります。
なお、ピルを飲んでいる女性が服用を中止すると、同様に抜け毛が目立つようになることがあります。ピルは女性ホルモンのエストロゲンを補給する薬なので、服用をやめると、分娩後脱毛症と同様、エストロゲンが減って一気に抜け毛が増えるのです。しかし、これは一時的なもので元に戻るので、心配はいりません。
妊娠によるエストロゲンの増加等が原因
〈症状の特徴〉
●分娩後、急激に抜け毛の量が増える。
●硬く、しっかりとした硬毛が抜ける。
●通常は分娩後6カ月ほどで正常に回復する。
〈原因〉
・妊娠による一時的なエストロゲンの増加と、出産による女性ホルモンの急減
この話は次回に続きます。