「家系だからしかたない」とあきらめない
加齢などによって薄毛になっていくのではなく、生まれつき薄毛という女性もいます。私のクリニックへも、若い年齢ながら薄毛に悩む女性が訪れます。家系的に薄毛の場合、年齢に関係なく薄毛になってしまうことがあるのです。こうしたケースでは、もともと髪の本数が少なく、密度が少ない場合が多いようです。
ただし、生まれつきの薄毛であっても、医療機関で治療をすれば改善することができます。「家系だからしかたない」とあきらめず、ぜひ治療を受けるようにしてください。
女性の薄毛治療は男性より複雑で難しい!?
さて、このような女性の薄毛ですが、その治療は男性よりも複雑で難しい面があります。
たとえば、FAGA(女性男性型脱毛症)についても、男性のAGAより治療が難しいのが現実です。男性の場合は、内服薬「フィナステリド」などを処方し、男性ホルモンを減少させれば何らかの効果が出ます。しかし、じつのところ残念ながら、女性の薄毛にはそうした特効薬がないのです。
また、髪にとって必要とはいえ、女性ホルモンの投与には子宮頸がんや乳がんなどの発がんのリスクもあります。さらに、薄毛の治療薬は外用・内服を含めていろいろあるものの、妊娠の可能性がある年齢の女性には使用できないものもあるのです。
このように、女性の場合は妊娠や閉経など年齢や時期によって現われる薄毛の症状が違ったり、医療機関で施せる治療も異なったりします。それが難しいところなのですが、次の最終章では、そんな女性のさまざまな薄毛治療の可能性、つまり〝現代の薄毛治療の最前線〟についてご紹介しましょう(本書籍をご覧ください)。