前回は、髪の毛はどのような構造・成分で構成されているのかを説明しました。今回は、髪の毛が生えるサイクル「毛周期」の仕組みを見ていきましょう。

女性は一生のうち、15~30回程度の毛周期がある

生えた髪はずっと頭にとどまって伸び続けていくわけではありません。生えて、成長して、抜け落ちて、また生え替わります。この繰り返しの周期を「毛周期(ヘアサイクル)」といいます(以下の図表を参照)。

 

[図表]正常な毛周期(ヘアサイクル)

 

毛周期は、毛が生え始めてから毛母細胞がさかんに分化・増殖し、その成長が止まるまでの時期を指す「成長期」(一般的に2~6年の周期)、成長期が終わって休止期に移行する過程である「退行期」(1~2週間)、毛根が退化してから毛が抜ける直前までの「休止期」(3~4カ月)というサイクルのことをいいます。

 

この毛周期は男性と女性で少し違いがありますが、女性の場合は4~6年、一生のうちに15~30回くらいのヘアサイクルを繰り返すと言われています。

 

女性に最も多いFAGAは成長期の短縮であり、成長期の持続が薄毛解消の最大のカギです。先に触れたように、毛母細胞が分化・増殖を繰り返す成長期の持続には細胞成長因子(KGF、IGF-1)が大きく関与していることが近年の研究で明らかになっています。

 

また、成長期を終了させてしまう、TGF-β1という因子も存在しますが、これらについては後ほど詳しく解説しましょう。

毛周期の休止期に抜ける髪は1日に平均50~100本

さて、頭全体の毛髪の中で、成長期にある毛は約85%、退行期にある毛は約1%、休止期にある毛は10~15%弱といわれます。

 

成長期にある髪が伸びる速度は1日に約0.3~0.4㎜。この速度は頭の場所によって違い、頭頂部のほうが側頭部よりも早いことが確認されています。

 

休止期に入ると、成長期に比べて毛包の長さは半分から3分の1程度になり、髪の毛は表皮近くまで押し上げられて、やがて抜け落ちます。しかし、再び毛包が育って髪を成長させ、同じ毛根からまた毛が生えて成長を続けていきます。

 

毛周期の休止期に入って自然に抜ける髪は1日に平均50~100本。洗髪時などの抜け毛の量を見て心配になることがあるかもしれませんが、50~100本程度の抜け毛はごく当たり前のことです。明らかにそれ以上多い抜け毛が気になる場合は、もしかすると薄毛のサインかもしれませんが、一般的には髪の毛は毛周期によって、抜けてもまたちゃんと生えてくるのです。

 

ちなみに、人の毛髪には、うぶ毛、軟毛、硬毛の3種類があります。うぶ毛は色素がなく、数ミリまでしか伸びない毛。軟毛は色素が薄く、細くて短い毛であり、硬毛は色素が濃く、硬くて太く伸びていく毛です。

 

のちにお話しする「AGA(男性型脱毛症)」になると、頭部の硬毛が軟毛へと変化し、それが薄毛へつながっていくことになります。

専門医が徹底解説! 女性の薄毛解消読本

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元神 賢太

幻冬舎メディアコンサルティング

いつまでも若々しく美しくありたいと願いながら、髪の悩みに関しては「結局、歳には勝てない」とあきらめてしまう女性が多いという現実……。 「美のコンシェルジュ」として、10代から70代までと幅広い女性たちの薄毛の悩みを…

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