前回は、髪の毛が生えるサイクル「毛周期」の仕組みを説明しました。今回は、「秋になると抜け毛が増える」のは本当かを探ります。

人間も動物と同様、季節によって毛量が変化する

毛周期のうち成長期にある髪の毛の比率は、季節によって変化します。すなわち、春には比率が高く、秋には低下するようになっています。そのため、「秋には抜け毛が多くなる」と実感することは、科学的にも正しいことなのです。もう少し詳しくお話ししましょう。

 

動物の場合、全身の毛は主に防寒の役割を果たしますが、日本のように四季のはっきりした地域では、季節による気候の差に対応するように毛の生え方が変化します。夏の毛は〝夏毛〟、冬の毛は〝冬毛〟といいます。ペットの犬や猫も同じですが、一般的に冬毛のほうが細かい毛が密生する状態です。

 

哺乳類や鳥類には、夏毛と冬毛の色が大きく変化するものがあります。オコジョやエチゴウサギは、夏毛は褐色であるのに、冬毛は真っ白に。これは雪の多い地方に住む特性ゆえに、保護色として色が変わるものだと考えられます。ちなみに、夏毛と冬毛の間には、毛が入れ替わる短い時期があり、〝毛変わり〟と呼ばれます。

 

人間の場合も、季節によって毛量が変化します。6年間にわたって823人の女性を対象に、毛の季節変動について大々的に調査をした唯一の論文があります。

 

それによると、休止期状態にある毛(休止期毛)は7月にピークがあり、休止期毛が成長期に切り替わる際に、抜け毛が目に見えて感じられるとされます。休止期は約3カ月あるため、抜け毛は夏の終わりから10月にかけて最も体感することになるそうです。

 

従って、冬は抜け毛が少なく、夏の終わりまで毛量が増えるわけです。これは、冬に暖を取るための備えともいえますし、春や夏の紫外線から頭皮を守る役割をしているともいえます。

「秋の抜け毛=紫外線や栄養不足が原因」は迷信!?

そのような事実を踏まえると、人間も秋に抜け毛が増えるのは当然のこととわかります。雑誌やウェブサイトで、「9月に抜け毛が多いのは、夏に浴びた紫外線が原因」「夏バテで栄養不足になると抜け毛が増える」などと説明しているものが多数ありますが、これは紫外線の影響ではなく、人間の動物的な活動の一環。

 

ですから、秋になって洗髪時に抜ける毛が多くなったと感じても、「とうとう薄毛が始まった」などと悲観しすぎる必要はありません。

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