「変えられない欠点」がある物件はNG!
Q:絶対に買ってはいけない物件の条件はどのようなもの?
一見利回りが良さそうに見えても、後から問題が出てきて結局損切りで売ったり、最悪は収支計画が破綻したりする物件もあると思います。投資の失敗につながる、「絶対に買ってはいけない物件」とはどのようなものですか?
A:「変えられない欠点」のある物件は買ってはいけない
物件の良し悪しを判断するには、「変えられるもの」と「変えられないもの」という基準で考えます。たとえば、設備の古さや外壁の色などは、後からいくらでも変えることができます。費用がかかるにしても、その費用を見込んで利回りを計算しておけば、収益物件活用においては致命的な問題にはなりません。むしろ欠点の修繕によってバリューアップにつながる可能性もあります。
しかし、物件の「立地」「建物の致命的な欠陥」「瑕疵(かし)」などは、改善のしようがありません。この「変えられないもの」が、収益物件活用の障壁となるようであれば、どんなに表面的に利回りが高くても手を出すべきではありません。
東日本大震災の際に、津波で多くの家屋が流されてしまったのは記憶に新しいところです。あそこまでの大規模災害はめったに起こらないにしても、近年はゲリラ豪雨などの都市型災害も多発しています。ハザードマップなどを確認し、浸水履歴のある場所などは避けたほうが賢明です。
また、一見しただけでは分からない周辺環境も、自分の力では変えられない部分です。もしかすると、近くに嫌悪施設があったり、反社会的勢力の事務所があったりするかもしれません。これは実際にあった話ですが、購入してみると入居者の半数がその筋の人たちで、どこの管理会社も管理を引き受けてくれませんでした。
具体的には以下の三つのポイントの把握が重要です。
①立地
②建物
③物件の瑕疵
一つの企業、施設、学校に依存している場所は要注意
不動産にとって最も重要な要素は立地です。収益物件においてもこれは当てはまります。
そして、収益物件活用において最大のリスクは空室です。残念ながら我が国は人口減少社会に突入しました。都市間の格差が広がり、人が住まない(もしくは住まなくなっていく)地域も出始めました。誰も入居してくれなければ、いくら想定利回りが高くても絵に描いた餅です。
立地は二段階に分けて考える必要があります。
まずは広い意味でのエリアです。たとえば、さいたま市や札幌市などです。そもそも人口の少ない、もしくは大幅に減っていくエリアでの物件取得は非常にリスクが高くなります。これからの日本は人が増えていく地域と減っていく地域が明確に分かれていきます。東名阪の三大都市圏および政令指定都市を中心としたエリアは人口増、あるいは維持で推移しますが、その他のエリアは人口が減っていくでしょう。
次に、物件のよりピンポイントな立地です。たとえば、さいたま市の中のどこか? という視点です。さいたま市自体は人口が減らないエリアですが、細かく見れば良い場所と悪い場所の差があります。
不動産は個別性が非常に強いものです。道路一つ挟んだだけで、もしくは隣接している土地でも道路付けだけで、価値が変わります。
そのエリアの中で、その物件がどのような場所に存在しているのかという視点が必要です。地方物件のなかには、稀に非常に利回りが高く、安定稼働している物件があります。企業が寮として長年サブリースで借り上げているなどのケースです。しかし裏を返せば、この企業にサブリースを解除されてしまうと、すべて空室になるうえに、募集賃料も現在相場に合わせて下がってしまうリスクをはらんでいます。
売主がなぜそのような優良物件を売ろうとしているのか、売却理由を知らずに購入するのは危険です。もしかしたら、企業の撤退や、都市計画などの情報を事前に知っていて、早めに売り抜けようとしているのかもしれません。
たとえば、近年の少子化による学生数減少や都心回帰の流れから、地方にある東京の大学の新設学部が、都内の本部キャンパスに移転するケースも増えています。学生をターゲットにしていたアパートは、大学がなくなってしまうといくら家賃を安くしても借り手がつきません。
不動産は、その土地に固着しているがゆえに、その地域の情勢によって大きく経営状況が左右されます。情報網を広く持ち、一つの企業や施設、学校に依存している場所は注意してください。その点でも最初から、ある程度人口があって流動性の高い地域にある物件を購入することが望ましいといえます。