火災保険の活用で、中古物件の不具合のリスクをヘッジ
前回の続きです。
以上のような調査を行ったとしても中古物件の場合には突発的な不具合が起こる可能性はあります。
その不具合に対してリスクをヘッジするために火災保険の活用があります。火災保険は、火事に備えるだけのものではありません。火災保険に加えて地震保険に入ることはもちろん、特約をつけることで様々なリスクに対応することができます。
保険料はすべて経費計上できるので、惜しまずにしっかり備えておくことが重要です。
おすすめの火災保険の特約には、次のようなものがあります。
●建物電気的・機械的事故特約・・・エレベータや水道ポンプなど、電気や機械設備の故障が保障されます。
●施設賠償保険・・・アパートやマンションの安全性の不備や構造上の欠陥によって、入居者などに損害を与え、大家さんに賠償責任が発生する場合に備えられます。保険料が安く保障が手厚いので、中古物件のオーナーさんには特におすすめします。
●盗難・偶然な事故による破損・汚損・・・室外機の盗難や、引っ越し時に壁に穴が開いた、窓ガラスを割られたなどのケースに保障されます。
●家賃損失補償特約・・・水漏れや火災などで建物が使用できず、家賃が得られない期間の損失が補償されます。
※保険会社や商品によって補償内容は異なるので、詳細については専門家に相談してください。
「費用対効果」を考えた修繕工事でコストコントロール
では、物件を取得したうえでどのような修繕工事を行えばよいのでしょうか? 一言でいえば、費用対効果を考えた工事を行うということになります。
収益物件の活用においては、利益の最大化という観点が最も大切です。ここが自宅等の実需物件との大きな違いです。自己満足ではなく、費用対効果を計算した数字に基づいた判断が求められます。どこをどの程度修繕していくか的確に判断しなければなりません。
たとえば外壁塗装などは、塗料の種類によってコストが大きく変わります。長期保有を考えるのであれば、20~30年はもつ最高級の塗料で塗ってもいいのですが、「減価償却を4年取った後に売って資産を組み換えよう」と考えている場合には、〝化粧直し〟程度の塗装でコストを抑えたほうが合理的です。
また、空室が出れば部屋の原状回復費用がかかりますが、長期で入居されていた部屋ほど設備も間取りも古くなっています。フルリフォームも視野に入りますが、それで家賃がどのくらい上がり、どのくらいの期間でコストを回収できるのか、実際に客付けをしている管理会社や不動産会社の意見も聞きながら、適切なリフォームになるようコストをコントロールすることが重要です。