民法上は「共有」と「準共有」は同じもの
ここまでの説明で示したように、共有は「所有権」を複数の人で持ち合っている状態です。複数の人が持ち合っているものが「所有権以外の権利」の場合には、共有と区別して「準共有」と呼ばれています。
準共有の対象となる権利としては、用益物権、担保物権、賃借権、著作権、特許権、鉱業権などがあります。このうち、用益物権、担保物権の具体例としてはそれぞれ以下のようなものがあげられます。
①用益物権
地上権、永小作権、地役権など。
②担保物権
抵当権、質権、譲渡担保など。
もっとも、準共有に関しても、法令で別に定めがある場合を除けば、基本的には共有に関する民法のルールが適用されるので、「共有と準共有は同じ」と理解しておけばよいでしょう(以下の解説でも共有と準共有は特に区別しないことにします)。
共有とは異なった特徴を持つ「合有」「総有」
また、先に触れたように、共有以外にも共同でモノを所有する形があります。「合有」と「総有」がそれです。合有の例としては組合財産が、総有の例としては一般に入会権、権利能力のない社団(設立登記前の会社や町内会、サークルなど)があげられます。
これらは、持分の存否やその取り扱いの点で、共有とは異なった特徴を持っています。
まず合有では、各共同所有者が持分を潜在的には有しているものの、持分の処分の自由が否定されていますし、目的物の分割請求の自由も認められていません。具体的にいうと、組合員は組合財産に対して持分を持っていますが、それを処分したとしても、組合や組合と取引した第三者に対抗することができません。
一方、総有では、各共同所有者は潜在的にも持分を持っておらず、目的物に対して使用・収益権を有するのみです。持分がないのですから、当然、分割請求の自由もありません。
[図表]共有、合有、総有の違い