今回は、2013年以降の金融経済に起きた「大きな変化」とは何かを見ていきます。※本連載は、金融審議会会長などを歴任、現在はアジア開発銀行研究所・所長などを務める吉野直行氏と、東京三菱銀行調査部長などを歴任、現在は近畿大学世界経済研究所客員教授などを務める山上秀文氏の共著書、『金融経済 第3版 実際と理論』(慶應義塾大学出版会)の中から一部を抜粋し、実際と理論の両面から金融経済の基礎知識を解説します。
アベノミクスの3本の矢…行き過ぎた円高修正や株高も
前回の続きです。
本書、『金融経済 第3版 実際と理論』(慶應義塾大学出版会)の初版が上梓され、4年が経過した。その間にアベノミクスの3本の矢である、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の実施に伴う行き過ぎた円高の修正や株高が起きた。
また、国際的な投資活動の活発化のもとでの国際収支表の改訂など、新しい大きな変化が生じている。第2版は、そうした金融経済の変化に素早く対応しようとするものであり、読者の金融経済に対する理解が第2版により一層深まるよう期待している。
2016年1月、日銀はマイナス金利政策を導入
本書は2年ごとに改訂され上梓されている。今回は2013年春の初版、2015年春の第2版に続く第3版で、初版から早4年が経過したことになる。その間に内外の金融経済の変化は大きく、日本の金融政策では2016年1月に日本銀行がマイナス金利政策を導入した。
第3版は、そうした金融経済の変化に合わせて、特に実際編において日本銀行の国債保有増など統計を新しくし、関連記述を加えた。またマイナス金利政策について新しい節を設けて詳しい解説を行なった。
アジア開発銀行研究所・所長
慶応義塾大学名誉教授
1950年生まれ。1973年東北大学経済学部卒、75年大学院修士。
1979年米国ジョンズ・ホプキンス大学経済学博士(PhD)、ニューヨーク州立大学経済学部助教授、1990年‐2014年慶應義塾大学経済学部教授、日本銀行金融研究所Visiting Scholar、財政制度審議会財投分科会部会長、外国為替審議会(会長)、金融庁金融研究センター長、金融審議会会長、スウェーデンGoteborg大学名誉博士、ドイツMartin Luther University-Halle Wittenberg大学名誉博士、
慶応大学経済研究所所長、福澤賞受賞。
現在、アジア開発銀行研究所所長(ADBI)、慶應義塾大学名誉教授、金融庁金融研究センター顧問、日本FP学会会長。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載「実際」から「理論」の流れで学ぶ金融経済の基礎
博士(経済学)
近畿大学世界経済研究所・客員教授
1949年 石川県生まれ。
1972年 東京大学経済学部卒 株式会社東京銀行入行
1977年 カリフォルニア大学バークレー校経営学大学院修了(MBA)
東京銀行信託会社(ニューヨーク)VP、英国東京銀行(ロンドン)副社長、
東京三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)調査部長などを歴任し、2004年近畿大学経済学部教授、2008年神戸大学学位取得 博士(経済学)。
現在、近畿大学世界経済研究所客員教授、慶應義塾大学通信教育部講師、
国際通貨研究所客員研究員、日本金融学会前理事。
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