国も推し進める「シニア人材の活用」
2013年4月1日、高年齢者雇用安定法が改正され、年金(定額部分)の支給開始年齢が65歳に引き上げられました。
また、内閣府が掲げている成長戦略の「雇用制度改革・人材力の強化」には、「高齢者等の活躍推進」として次のような方針が明記されています。
「生涯現役社会の実現に向けて、高齢者の継続雇用に取り組む中小企業に対する職域開発等の支援を行うとともに、高齢者等の再就職支援の強化、地域の多様なニーズとのマッチングによるモデル的な就労促進の取組への支援等を実施する」
つまり、国は日本企業の生産性維持・向上のために「シニア人材の活用」へと舵を切ったのです。シニア人材は労働力不足にあえぐ日本企業にとって〝一筋の希望〟と言っても過言ではありません。
もちろん、外国人を雇用するという方法もありますが、日本には独自の言語や企業文化があるため定着までに時間がかかります。
やはりこれまで「企業戦士」として事業活動を引っ張ってきたシニア人材の活用こそが生き残りへの道なのです。
シニア人材に特化した派遣会社・求人サイトも増加
現在、65歳以上で働いている人は、2014年時点で約681万人。これは高齢者の5人に1人が仕事をしているという計算です。
シニア人材に特化した派遣会社も増えていますし、シニア向けの求人サイトも次々にできています。パナソニックエクセルスタッフ株式会社では、シニア・スペシャリスト人材サービス「ASSIST(アシスト)」を展開していますし、パソナやリクナビNEXTといった求人サイトでもシニア層向けの求人情報を掲載しています。
また、最近ではシルバー人材センターでも業務を拡大する動きが出てきました。
シルバー人材センターと言えば、草刈りや清掃、包丁研ぎといった単純かつ短時間で済む仕事を扱っているというイメージがあります。しかし、それではもっとしっかり働きたいというシニアの要望に応えられないので、就業時間は週に「20時間以下」から「40時間以下」へと引き上げられたのです。それに伴い、地域のコンビニと組んで、シルバー人材にコンビニ業務を実地で覚えてもらい、派遣するという取り組みも始まりました。
今後、シニア人材がますます求められ、活躍するようになることは間違いありません。
60~64歳の不就業者の3割以上、65~69歳では2割以上の人が就業を希望しているというデータもあり、仕事をしたくても働けない人も一定数いることがわかります。
今は過渡期と言えるかもしれませんが、65歳を過ぎても働くのが当たり前という社会になりつつあることは疑いようがないのです。