「シニア」と呼ばれることに抵抗を示す人は多い
国連の世界保健機関(WHO)の定義では、65歳以上の人を「高齢者」としていますが、日本の改定高年齢者雇用安定法では55歳以上が「高年齢者」とされています。55歳なんて、まだバリバリの現役世代でしょう。
2013年にビデオリサーチが行った調査によると「シニア」という呼び方が連想させる年齢は60歳前後、「シルバー」はさらに上の67〜68歳という結果になっています。しかし、同じ調査で「シニアと呼ばれることに抵抗がある」と回答した人は、60代前半で55%、60代後半でも42.1%とあまり歓迎されていないことがうかがえます。
私も「シニア」「シルバー」という呼び方には、やはり抵抗を感じています。「シニア人材」「シルバー人材」というだけで、どうも枯れたようなイメージがついて回るため、採用する側もされる側もいい印象を持てないように思うからです。
今後、もっとイメージが良い新しい呼び方が定着すれば、50代、60代の仕事事情も変わってくるのではないかと思います。
年齢の壁をなくし、平等に評価されることが理想
同じような理由で「第二の人生」というとらえ方も、シニア世代の活躍の障害になります。「第二の人生」というと、若いときが「主」で、そのあとが「従」であるような感じがします。だから、私は「現役時代」という言葉も実は嫌いです。働いている限り、70代でも80代でもずっと現役でいられるはずです。
第二の人生と考えると、どうしても「あの時はこうだった」「こんなふうに輝いていた」と過去の栄光を懐かしく語ることが多くなります。過去を振り返ってばかりいては、前を向いて歩いていないということになるでしょう。
しかし、過去はもう戻ってきません。第二の人生と区切りをつけるよりは、「ずっと今の人生が一番」と常に考えられるような状況のほうが、最後の最後まで幸せな人生を送れるはずです。
私は、たとえ若くなくても、世の中の役に立つ仕事をするべきだと思っています。やはり、大義や志を持って臨むことが大事です。
私自身、たとえ報酬は安くても「充実感がある」「ああ、良かったな」と思える仕事がしたいと思いますし、その点は多くの人に共感してもらえるでしょう。
当社が専門知識・技術、資格などを活かせる人に採用を特化しているのは、それが世の中のためになることを期待しているからです。フルタイム、パートタイムなど働き方は違っても、同じように充実感や満足感を得ることはできますし、社会に貢献することもできます。そのための場所を用意するのが経営者の役目でしょう。
年齢の壁をなくして、20〜30代も、50〜60代も、もっといえば70代や80代も同じように活躍し、評価される社会になることが望ましいと思います。そのためにも、「シニア」「現役」といった分け方をなくして、「現役」という表現だけになる日が訪れることを願ってやみません。