今回は、債券価格の推移と「金利・利回り」の関係を見ていきます。※本連載では、松本大学松商短期大学部経営情報学科の藤波大三郎教授による著書『たのしく学べるファイナンシャル・プランニング』(創成社)の中から一部を抜粋し、ファイナンシャル・プランニングの基礎知識の中から「金融資産運用」について解説します。

長期金利が「上昇」すると、債券価格は「下落」

3.債券投資

 

(1)債券投資の特徴

 

資産運用を考える上で債券は株式とともに重要な金融資産ですが、わが国では社債の市場は長く発展が抑制されていたため、あまり知られてはいないと思います。債券とは資金の調達者が投資家に対して発行した借用書がそのまま売買の対象になるようになっているものをいいます。期間は3年から5年、10年、20年と長期間のものとなります。

 

元本の返済を受けるまで利子、これを利金とかクーポンと呼びますが、この利子を受け取ることができ、これをインカムゲインと呼びます。また、債券は期間の途中で売却することができ、購入価格より高い価格で売れば利益が得られますが、これをキャピタルゲインと呼びます。

 

債券価格と金利・利回りの関係としては、市中金利が上昇すると債券価格が下落し、債券価格が上昇すると利回りが低下するという関係があります。この債券の利回り、つまり長期金利が上昇すると債券の価格は下落し、長期金利が低下すると債券の価格は上昇する関係にあることを理解しておくことが大切です。

 

たとえば、今利率2%で期間の5年の債券が100円で発売されたとします。しかし、1カ月で長期金利が急上昇して翌月は3%となり、翌月は利率3%で期間5年の債券が100円で発売されたとします。そうすると利率2%の債券の価格は約5円低下して95円になってしまいます。

 

なぜなら、2%の債券は5年間で10円の収益ですが、3%の債券は15円です。ほぼ同時期の債券で5円の収益性の差があるので、利率2%の債券は100円では買い手が付かず、5円程度価格が下がると約95円投資して約15円の収益となり、利率3%の債券と同じ収益性となって売買されるというのが大まかな理由です。長期金利が低下する場合はこれの逆の関係が起きます。

 

インフレ目標の2%が達成されて景気が回復してゆくと長期金利は上昇するので、現在の債券は価格が下落することになります。2014年10月に公的年金の国内債券での運用の比率が削減されて35%となりました。この変更理由の1つに将来の債券価格の下落、つまり長期金利、債券利回りの上昇の予測も含まれているといわれます。

長期金利と短期金利の差は、景気変動の判断に利用

(2)債券の利回り計算

 

前に国債の利回りについて触れましたが、債券の利回りとは債券の実質的な収益性をいいます。債券はその額面と、販売されたり取引される価格が異なります。100円の額面の債券が100円で販売され、1%の利率で5年後に100円で償還されれば年率の利回りは1%となり、特に問題はありません。しかし、販売価格が99円であれば、利回りは約1.2%となります。この利回りがいわゆる長期金利として、現在の日本銀行の金融政策でも目標とされているものであることは知っておいた方が良いと思います。

 

最終利回りの計算式を見ますと大変複雑に見えますが、仕組みは簡単です。ポイントは額面と買付価格の差である償還差益、または償還差損を残存年数で割ることです。これは償還差益、償還差損の1年当たりの額を算出していることになります。それと表面利率を足せば、1年当たりの収益がでますので、それを投資元本、つまり買付価格で割ると最終利回り(単利)が算出されるのです。

 

そして、この長期金利と短期金利の差は前に述べた景気動向指数の先行指数となっており、景気変動の判断にも使われます。

 

長期国債の利回り、つまり長期金利は景気が良くなり始めるとすぐに上昇し、景気が悪化し始めると実体経済に先行して低下する傾向があります。そこで短期金利との差を見ていると景気の動向がある程度判断できるとされているのです。この長期金利の動きは難しいものがあり、まれに1カ月で1%上昇するようなこともあります。そうした急激な長期金利の上昇は株価の下落要因と判断される場合もあります。金利の上昇は株価にはマイナス要因であるからです。

たのしく学べる ファイナンシャル・プランニング

たのしく学べる ファイナンシャル・プランニング

藤波 大三郎

創成社

要所を押さえることで,効率よくFPの知識を得ることができる! 目次 第1章 ライフプランニングと資金計画 第2章 リスク管理 第3章 金融資産運用 第4章 タックスプランニング 第5章 不動産 第6章 相続・事業承継

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