会計インフラの構築で確保したい「社長の時間」
「社長の仕事」の中で最も大きな意義を持つのは「経営戦略の立案」です。数十年先を見据えた長期的なビジョンを策定することは、会計インフラの構築により「仕組み化」を実現し、「社長の時間」を確保した経営者が真っ先に取り組むべき仕事といえるでしょう。
そして、経営者が中長期的な経営戦略を最も理想的な形で策定するためには、その資料となる会計データが適切かつ迅速に取りまとめられていく経理処理の仕組み、すなわち「経理オペレーション」を最適化する工夫が求められることになるでしょう。
本連載では「会計処理を効率化するためには社内にどのような組織・人材が必要となるのか」「経営者が管理すべき数字としてはどのようなものが挙げられるのか」など、構築した会計インフラを自社の成長に結びつけるために必要となる管理・運営のノウハウやポイントについて解説しましょう。
「経理部長」こそ会計インフラの維持・運営の責任者
経理オペレーションの基盤となる会計インフラを維持・運営するなかで最も重要な役割を果たすことになるのは、経理の責任者である経理部長です。
経理部長には、経理の視点から社長に対して適切なアドバイスをする役割が求められることになります。例えば、売上だけをひたすら追い求め営業利益への意識を欠いているような社長に対しては、必要があれば「会計データから見ると、このままでは○○のリスクがあります」などと積極的に提言するスタンスが求められるわけです。
こうした経営者の参謀的な役割を経理部長が果たすためには、管理者としての立場から会計業務全体を見渡せる能力と、会社の動きを適切に会計データに反映し「見える化」を実現できる会計の専門性が必要になります。
また、そのような“会計力”の一環として、簿記の知識を用いて経理・管理のための記録を行い、その記録を用いたデータを作成するスキルも、当然求められることになるでしょう。