これまでの経営姿勢を改善
東芝と銀行団の交渉を見ていると、
交渉というよりはむしろ、
東芝は銀行管理の下に陥っている、といった様子です。
では、会社が銀行管理になると、
どのようなことが起こるのでしょうか?
その地獄を見た経営者の実話をもとに、書かせていただきます。
債権者から罵声を浴びつつも、
耐え忍ぶ日々が続いてゆきました。
そのような厳しい経営状況のなか、
捨てゼリフを吐き捨て、去ってゆく従業員もいれば、
再建へ向けて協力してくれる従業員もいたそうです。
そうこうするうちに、
資金繰りは少しずつながらも、改善してきました。
長く暗いトンネルも、前へと進めば、光が見えてくるのです。
そのような状況のもと、若き経営者は、決意しました。
銀行借入の返済減額猶予を受けてはいたものの、
その減額に上乗せして、返済してゆくことを決意したのです。
わずかながら、上乗せ返済を続けました。
これまでの経営姿勢を改めることを、行動で示したのです。
状況が好転すると、銀行員の態度に変化が…
このことにより、銀行の態度が少しずつ変わってきたそうです。
そもそも、長く暗いトンネルに入って、数年間を経過していました。
銀行の支店長や担当者も、すでにリスケジュール開始時点とは、
異なっていたのです。
つまり、新たな担当者たちにとっては、
自分たちの責任で招いた不良債権処理では、ないのです。
回収のメドが出始めたなら、
あまりそのことに時間を費やしたくないのです。
毎月実施していた、
各銀行へ出向いてヒアリングを受ける調査も、
経営再建に送り込まれたアドバイザーの来社も、
2ケ月に一度、3ケ月に一度、と、頻度が少なくなりました。
さらには、取り巻く経営環境にも、復調の兆しが見え始めました。
今後の売上げ見通しが立ち、
返済財源の確保がより明確になってきたのです。
となると、今度は、リスケジュール期間中でありながらも、
銀行の新たな担当者は、新規融資を促してきたのです。
何よりの変化は、銀行側から会社へ来るようになったことです。
それまでは、まるで警察へ出頭するかのような気持ちで、
若き経営者は、銀行へ出向いていたのです。
銀行員の態度も、ガラリと変わりました。
再建中の銀行員は、絶えず腕組みをしながら厳しい表情で、
何を言ってもふんぞり返るような態度だった、そうです。
それが、状況が好転してくると、
絶えず笑顔で、前かがみの姿勢になっていったそうです。
過去の経営姿勢を改め、
再建へ向けて地獄のような日々を過ごしたものの、
やがて嵐は去ってゆきました。
当然ながら、銀行管理に陥った際に味わった苦しみを、
若き経営者は、二度と経験したくはありません。
今なお、再建途上ではあるものの、
腐敗したような同族臭が漂う経営からは、
完全に抜け出し、奮闘邁進の日々を送っているのです。