今回は、銀行からの借入金の「視える化」で財務改善に成功した事例を紹介します。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

借入金を1本返すたび、ボードに花を…

ある会社の決算書を、約3年ぶりに見せてもらいました。
すると、前に見た時より、短期も長期も、
借入金がずいぶん減っていたのです。


“借入金がかなり減りましたね!”
“ええ。3年前は、必要のない借入金もありましたから・・・。”


そうです。
当時は、借りなくてもよい借入金まで、銀行に頼まれて、
積みあげていたのです。
“とにかく、教えていただいたとおり、
 返せるものはどんどん返す、
 という方針に、3年前から切り替えました。”
業績も、この3年間、上向き傾向になり、
繰上げ返済もどんどん進めたのです。

 

“それに、前に指導を受けてから、
借入金を視える化したんです。”
“ん?どういうことですか?面積グラフですか?”
“違うんです。これを見てください。”
と、次の写真を見せてくれました。

 

 

“あのころ、借入金が全部で15本あったんです。
 それを、ひとつ終えるたびに、当確みたいな花をつけたんです。
 やり始めると、その花をつける瞬間がすごく嬉しいんですよ!”

 

と、目を輝かせて話してくれました。
このボードを社長室の壁に貼り付け、
奥様の副社長とともに、返済の儀式を楽しんでおられるのです。

「あと5本返したら、銀行のギブアップですね」

“それはなかなか、楽しそうですね。
 で、なんでアントニオ猪木なんですか?”
と、素朴な疑問をぶつけました。
“何を言ってるんですか。これは猪木の卍固めですよ。
 劣勢の中でも一発逆転する、必殺ワザじゃないですか。
 うちにピッタリでしょう!”

 

と、いうわけです。

 

副社長いわく、“私にはわかりません!”でした。
私は猪木世代なので、社長のお気持ちがよくわかりました。

 

“なるほど!
 じゃあ、あと5本返したら、銀行のギブアップですね。”
と、私が言うと、満面の笑みで答えてくれました。
“そうなんですよ。その瞬間が待ち遠しいんですよ!”

 

人はこうも変われるものなのか、
と、ときどき感じることがあります。
この社長は、銀行に対する考え方が変わり、
銀行に対する行動が大きく変わりました。
すると、
借入金が大きく減り、財務体質もはるかに向上したのです。
決心ひとつで、いつでも変わることができる、
ということを、感じさせてくれました。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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