「効率的で、お得な資産運用ができますよ」
前回の続きです。
社長の奥様が経理をまかされている、
という中小企業はたくさんあります。
しかし、銀行の担当者にすれば、
そのような経理まかされ妻はまさに、蜜の味なのです。
経理をまかされている経営者の奥様が、
過剰な借入にもさほど抵抗がない、とわかると、
銀行員はさらなる攻めの一手を打ってきます。
金融商品による、投資運用のおススメです。
例えば、ある中小企業でお聞きした事例です。
“奥様にぜひとも、ご説明させていただきたい商品があります。”
などという誘いにのり、説明を聞きました。
“リスクヘッジを備えたデリバティブ商品でありながら、
レバレッジが大きいので、ハイリターンが期待できますよ。・・・等。
たたみかける横文字軍団に、
経理まかされ妻は、もはやチンプンカンプンだったそうです。
内容など、ほとんど理解していないのです。
そこへ突如、わかりやすい言葉が舞い降ります。
“要はですねぇ、効率的で、お得な資産運用ができますよ。”
“あらそうなの、なるほど・・・。”
と、まるでわかっていないのに、
わかった気になるところがコワイです。
本業と関係ない投資商品に手を出し、多額の損失が…
“あなたがそう言ってくれるなら、安心だわ。”
と、内容やリスクよりも、情で判断する方向へ進みます。
しかも、銀行の人は、危ない話しを持ち掛けてこない人、
と思いこんでいたのです。
加えて、経理まかされ妻は、経営者同様、もうけ話しが好きです。
どんどん買う気になります。
“手続きなどは、こちらですべて準備させていただきますので。”
“これからは、BRICSが伸びる時代ですよ。”
となり、
買うなら今でしょ!という気分になったそうです。
本業とは無関係な、投資商品に手を出してしまったのです。
結果、多額の損失を産んでしまったのです。
夫である経営者も、多少は妻から聞いていたものの、
ほぼまかせっぱなしのまま、購入に至っていたのです。
銀行員は、買ってくれる見込みのある人だと思うと、
どんどん売り込んできます。
当たり前です。
彼らは売った時点で完結です。
あとのことなど、なんの面倒もみてくれないのです。
貸借対照表を図にしてみると、
借りなくてもよい借入金があり、
現金だけでなく、投資資産も多い、という場合があります。
で、聞くと社長の奥様が経理担当です、となると、
“それは、銀行にいいようにされていますねぇ。”
ということになるのです。